杉良太郎アジア・南米支援37年で30億円
【ハノイ(ベトナム)23日=松本久】日本ベトナム特別大使の俳優杉良太郎(63)が企画参加する「ハノイ・ホーチミン音楽祭」の記者会見が同地で行われた。外交関係樹立35周年を記念し24日から、両国を代表するアーティスト各6組が参加して行われる。20年前から里親として支援する子供たちは100人以上になる。私財も含めてに投じた額は30億円に及ぶ国際貢献の原点には、第2次大戦の悲劇に対するわびの気持ちや、亡き母の姿があるという。
「外交樹立35周年の記念に音楽祭ができないだろうか」。節目の年の文化交流を思いついてから1年半。24日にハノイ市、26日にホーチミン市で、ベトナム史上初という日本人歌手との総勢12組による華麗な共演が実現する。日本からは杉と妻の伍代夏子(46)に秋川雅史(40)w-inds.、島谷ひとみ(27)夏川りみ(34)が出演。杉自身が1人1人に直接会い、音楽祭の意味を説明した上で出演の快諾を得てきた。「準備で疲れ果てているのを見てきたから、今はホッとしている」と伍代が話すほどの情熱を注いだイベントだ。
ベトナムはチャリティー公演が縁で20年前から交流を深めてきた。日本語学校を運営し、里親として児童養護施設などの子ども100人以上の学費や生活費支援を行ってきた。20年前の里子が今では家庭を持ち、今や“親”から“おじいちゃん”にもなった。
国際支援は27歳の時に韓国の38度線を守る兵士を慰問したのがスタートだった。モンゴル、マレーシア、タイ、ブラジルなど10カ国以上で私財など30億円を投じて国際貢献に尽くしてきた。戦争で迷惑をかけたアジアの人たちへの贖罪(しょくざい)と、移民受け入れなどで世話になった南米の国々への感謝を込めた活動だと説明する。活動するほどに、日本人として贖罪と感謝の念を深めた。そしてもう1つ、02年に亡くなった母山田なみゑさん(享年93)の「人さまのお役に立つように」という生き方が大きく影響している。自宅に食べ物がなくても、困っている人には分け与える。そんな背中を見て育ち、自然と同じ生き方を身に着けた。
かつては「売名行為ですか」と言われる屈辱も味わった。だが、国際貢献で37年、国内でも15歳のときに始めた刑務所慰問が49年目になる。「売名行為ではこんなに長く続きませんよ」。国内での長年のボランティア活動に対し、今年になって緑綬褒章を芸能人で初受章した。「僕のやっていることには定年がないですから」。そう話す杉の横顔を「大変なんですよ」と、伍代が優しい笑顔で見つめていた。
[2008年5月24日9時34分 紙面から]
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