<ロンドン五輪アジア2次予選:日本3-1クウェート>◇第1戦◇19日◇豊田ス

 エースはオレだ!

 FW大迫勇也(21=鹿島)が、勝利を決定づける3点目を挙げた。前半から何度もゴール前に攻め込み、決定機を逃していたが、得意の右足で決めた。故障で出場を回避したFW永井謙佑(22=名古屋)の代役として1トップでフル出場。1日のオーストラリアとの親善試合(新潟)に続く2戦連発で、一気にエースの座を引き寄せた。

 ようやく、笑みがこぼれた。後半16分。大迫は中央からFW山崎のパスを受けると、一気にエンジンのギアを上げた。相手DFが左方向からスライディングで妨害してくるのが見えると、すかさず右足を振り抜いた。ボールがゴール右隅に吸い込まれると、右手でガッツポーズをつくった。クウェートの士気を一気に低下させる、ダメ押しゴールとなった。

 それでも試合後、大迫は納得していなかった。「全然、納得いってません。1点取ったのは良かったけど、もっと点を取れるところがあった。チャンスはとにかく、たくさんありましたね」。前半15分、右クロスを豪快なダイビングヘッドで合わせたが、ボールはゴールを大きく外れ、悔しそうに右手で芝生をたたきつけた。ゴールを決める直前の後半12分には、またも右クロスを絶妙の位置で頭で合わせたが、天を仰いだ。チャンスを何度も逃しただけに、その表情はさえなかった。

 ケガで欠場したエース永井の代役として、1トップの大役が巡ってきた。試合前、永井から「1点取れよ」と言葉をかけられたという。その約束は果たしたが、大迫は「あと2、3点…、欲を言えば、もっとたくさん取りたかった」と笑顔はなかった。

 その貪欲な姿勢は、チームメートも認める。所属する鹿島の主将MF小笠原とは、たまに食事に行く間柄。大迫について、小笠原は「あいつは大丈夫。メシに連れて行っても、いつもおれが支払う。それだけずぶといやつだから、多少、調子が悪いといっても気にするやつじゃない」と話す。DF中田浩も、興梠が2得点を決めて勝った5月3日のACLシドニー戦後には「やっぱりFWが点を取ると、チームに勢いが出る。興梠が頑張っているけど、チームの底上げのためにも大迫にもそういう存在になってほしい」と期待を込めていた。

 本人は納得のいかない内容だったが、オーストラリア戦に続く2戦連発の大迫の活躍は、次戦のアウェー・クウェート戦に向けて頼もしい。「点を取ることを続けることも一番ですけど、次は決めるところで決めて勝ちたいです。自分がやることは、しっかりやりたいです」。頭の中のスイッチは、すでにクウェートでの決戦に向けられていた。【由本裕貴】