<女子W杯:日本1-0ドイツ>◇準々決勝◇9日◇ドイツ・ウォルフスブルク
FW丸山桂里奈(28=千葉)が、大舞台で大仕事をやってのけた。ドイツ戦の後半開始から出場。延長後半3分に決勝ゴールを蹴り込んだ。試合前のミーティング時に東日本大震災の被災地の映像を見て、「頑張るしかない」と発奮。福島第1原発近郊のJヴィレッジを本拠地にする東京電力(無期限活動休止中)に09年まで5年間所属していたスーパーサブが、自分のゴールで日本に朗報を届けた。
ゴールへの「スペース」が光って見えた。延長後半3分、丸山は迷わず、そこへ疾走した。「もうあそこしか空いてなかったし、そこに走って振り抜こうと決めました」。背後の沢から理想のパスが来た。「逆サイドのネットだけを狙った」。右足から決勝ゴールが生まれた。「あのシュートの形は練習していた。今までで一番思い出に残る得点になった」。
持ち味は鋭いドリブルとスピード。1次リーグ2試合に「切り札」として途中出場したが、なかなかボールに絡めなかった。大舞台独特の力みもあった。今回は後半開始から監督に呼ばれた。「宝くじは買わないと当たらない。シュートは打たないと入らない」。ピッチに入る直前の監督のその言葉で力みが消えた。
気分も乗っていた。試合前の昼寝で夢を見た。「点をとって勝つ夢を見たんです。ああいうシュートではなかったんですが、自分が決めたんです。信じたり願ったりしていることが本当にかなうんだなというのを実感しました」。夢に見るほどゴールに飢えていた。
発奮材料もあった。試合前、ミーティング時に指揮官から被災地のスライドを見せられた。「我々のプレーは被災者の方々の力になる。苦しい時、被災した皆さんのことを思って踏ん張れ」。その映像と監督の言葉に「思わず目がうるっとした。テレビで見ている人たちのためにも頑張るしかない」。気合が入った。
福島第1原発事故の影響で活動を休止した東京電力に05年から5年間所属していた。「津波は天災。なんで東電がこんなにたたかれるの」とブログに書き込み、苦情が殺到。サッカーを続ける気力を失いかけたが、代表の仲間に励まされて踏みとどまった。5月に09年8月以来の代表復帰。W杯の「切り札」に抜てきされた。
ドイツ戦前夜に宿舎に訪れたウォルフスブルクの日本代表MF長谷部誠(27)には、試合後にブログで「心整いました」と、長谷部の出版した著書にちなんだユニークなお礼をした。次は準決勝。「北京五輪でベスト4とメダルは全然違うと思った。この勝ちが無駄にならないように気を抜けない」。まずはスウェーデン戦勝利へ、気迫を込めた。

