<J1:名古屋2-0清水>◇第6節◇12日◇日本平

 ドラガン・ストイコビッチ監督(43)率いる名古屋は、2-0で清水を下して5連勝とし、暫定首位に立った。

 ストイコビッチ監督は「何を騒いでいるんだ」といった表情だった。6年ぶりの5連勝、暫定とはいえ昨年4月以来約1年ぶりの首位にも、落ち着いていた。「首位はどれくらい続くのか」との質問を現役時代のプレー同様軽やかにかわした。

 ストイコビッチ監督

 多分、24時間か、もう少し続くくらいだ(笑い)。

 時刻は午後4時。ちょうど24時間後にキックオフとなる開幕5連勝中の王者鹿島-浦和を念頭に、こう笑わせた。そして「毎週の順位は気にしない。私の使命は、組織されたモダンで攻撃的なフットボールを植えつけることだ。結果は後からついてくる」。異例の「1日天下」宣言も、揺るぎない自信の裏返しだ。

 鮮やかな試合運びだった。前半9分に売り出し中の「ピクシーチルドレン」MF小川の意表を突くトーキック弾で先制。後半はGK楢崎を軸に耐え、最後は小川-FW杉本のホットラインが2試合連続得点し、勝負を決めた。攻撃の要の小川、2戦連続「後半44分弾」のジョーカー杉本ら、選手が役割をきっちり果たしているから、強い。杉本はチームの勢いを「今は止められないと思います」と言い切った。

 リーグ戦では1度も先発布陣をいじらず、相手に合わせることなく自分たちの形を貫く。「引き分けは負けと同じ」というストイコビッチ監督の信条も浸透。2戦続いた終了間際のダメ押し点がその象徴だ。

 前節の横浜戦後、旧ユーゴスラビア代表時代に指導を受けたオシム前日本代表監督から電話を受けた。「いいサッカーをしている、と言ってもらった。でもその後は30分間も戦術の話だったんだけどね」。褒められた「ピクシーフットボール」で、万年中位と呼ばれた名古屋がすっかり変身した。【八反誠】