<J1:札幌2-1磐田>◇第6節◇12日◇札幌ド

 コンサドーレ札幌が今季ホーム初勝利を挙げた。札幌ドームで磐田と対戦。前半43分、MFクライトン(30)のFKを3戦ぶり出場のFWダビ(24)がヘッドで決め先制。1分後、再びクライトン―ダビと渡りチャンスを演出。DF柴田慎吾(22)のプロ初ゴールを生み、2-1で勝った。J1でのホーム戦白星は02年11月30日の広島戦以来、1960日ぶり。公式戦11戦目にして、磐田から初勝利を挙げた。

 ブラジル人コンビがスタンドの目をくぎ付けにした。前半43分、右サイドからクライトンが蹴ったFKを、ダビが左のこめかみに合わせた。日本代表GK川口が守るゴールをこじ開け、リーグ戦6試合目で初めて前半に先制点を奪った。

 その1分後、今度は左サイドのクライトンがゴール前のダビへ、柔らかいクロスを上げる。左足でのボレーはセーブされるも、こぼれ球をDF柴田が押し込んだ。ホットラインが生んだ2得点が、6年ぶりのホーム初勝利をもたらした。

 エースの復帰を、相棒がアシストした。ダビは左太もも裏負傷と風邪で、2試合を欠場した。3試合ぶり実戦の不安は、クライトンがかき消した。CKの際には、スタンドに向かって拍手を要求。「サポーターとともに戦っていることを伝えたかった」。チームの士気を高めようとするその行動に、ダビも奮い立った。3月15日横浜戦で挙げた第1号は、クライトンのパスから生まれたもの。2人がそろえば結果が出ることをきっちり証明した。

 その活躍に驚嘆したのはサポーターだけではなかった。01年まで3年間、札幌で指揮を執った日本代表の岡田監督も「札幌は良かったねぇ。(気になった選手は)クライトン!。ダビもいいねぇ」と試合後に開口一番、2人の名前を挙げた。札幌の三浦監督も「ダビもけが、クライトンも(右足)内転筋痛を抱えながら…」と、万全でない中での奮闘をたたえた。

 ピッチ外でも2人のきずなは固かった。クライトンは言う。「チームの成長に貢献できればいい。誰かに点を取らせるプレーをしたい」。自らの活躍より、ダビの得点を望んでいた。8日の練習前、いつもは自転車で練習場に向かうダビの体調不良を気遣い、自宅に車で立ち寄った。ちょっとした心遣いが、その和をさらに深くした。

 「みんなで勝つことができた。ホームはやりやすいよ。クライトンもいいボールをくれたしね」。J1リーグ戦100試合目を飾ったダビは、サポーターと相棒にそう感謝した。本拠地の初勝利で、現J1勢で唯一勝ち星のなかった磐田から初白星を挙げた。“憎き相手”を撃破して、勢いがつかないはずはない。【上野耕太郎】