今季浦和から加入したJ1清水のFW永井雄一郎(30)が、開幕5戦目でついにベールを脱ぐ。9日の川崎F戦(12日、アウスタ)に向けた紅白戦で、主力組でプレー。FW原一樹(24)との2トップで、持ち前のドリブル突破から好機を演出するなど、移籍後初のメンバー入りを強烈にアピールした。開幕後も股(こ)関節痛と両ふくらはぎ痛で出遅れていたが、出場となればJ1通算250試合出場のメモリアルゲーム。区切りの試合で、上昇ムードのチームを連勝に導く。

 ついにこの時がやってきた。紅白戦の2本目。永井が、主力組の白いビブスに着替えて、ピッチに立った。「足の状態はいい。思いっきり動くことができている」。右サイドのセンターライン付近でボールを受けると、DF広井をあっさりかわし、約40メートルをドリブルで独走した。MF藤本からのスルーパスにも反応し、GKと1対1の好機もつくった。長谷川監督も「明日の状態と本人の気持ち次第」と永井のメンバー入りをほのめかした。

 破壊力抜群の攻撃陣を擁する川崎Fとの対戦では、永井が最強の「ジョーカー」となる。「ホームだし、真っ向勝負で行く」(長谷川監督)と打ち合い覚悟の戦いで、数々の修羅場をくぐってきた永井の存在は心強い。開幕後の対外試合は6日の練習試合(対横浜FC)で45分間の出場だけ。それでも「今までのサッカー人生で、練習試合を100回やっても、コンディションが上がったことは1度もない」と自らの“本番至上主義”を力説した。

 8日の2部練習もフルメニューをこなし「(足の状態は)試合に出られるところまできている。早く試合に絡まないとリズムも出てこない」と張り切っていた。開幕から遅れること約1カ月。天才ドリブラーが、清水の9番を背負ってアウスタに登場する。【為田聡史】