千葉J2降格、イレブン号泣/J1
<J1:川崎F3-2千葉>◇第31節◇8日◇等々力
日本リーグ創設から唯一45年間(44シーズン)も1部を守り続けた千葉が、ついに2部に転落した。アウェーで川崎Fに惜敗、3試合を残して16位以下が確定し、J2降格が決まった。前身の古河電工時代には実業団チームとして天皇杯を初制覇し、日本のチームとして初めてアジアのタイトルを獲得するなど日本サッカーをけん引。日本協会の川淵三郎名誉会長、日本代表の岡田武史監督ら、日本サッカー界を背負って立つOBを数多く輩出した名門が、伝統にピリオドを打った。
長い歴史に終止符を打つホイッスルが会場にこだました。わずかな可能性を信じて走り続けた千葉イレブンが、次々とピッチにひざまずいた。号泣するDF坂本が主審に促され、やっと立ち上がった。泣き叫ぶMF下村主将は、ゴール裏のサポーター席の前で、過呼吸になってよろめいた。
サポーターの前で謝罪する選手の姿を見て、大粒の涙を流した江尻監督は、控室に戻ると「申し訳ない。オレに力がなくてチームを2部に落としてしまった」と選手たちに頭を下げた。7月4日の大分戦以来15試合勝ちなし。この日は前半35分にMF工藤が先制したが、後半10分と25分に連続失点。43分にDF和田が同点ゴールを挙げたが、1分後にまた失点、力尽きた。
千葉のJ2降格は、日本サッカー界の1つの時代の終わりでもあった。前身の古河電工時代から先頭に立って業界けん引してきた。60年度に初めて実業団として天皇杯を制して、大学主体の流れを変えた。65年創設の日本リーグには第1回大会から参加。87年には日本チームで初めてアジアクラブ選手権を制した。そして、唯一1度も2部に落ちたことがなかった。
偉大なOBも数多く輩出した。長沼健氏(故人)は日本協会会長として02年W杯招致に尽力。川淵三郎氏はJリーグ創設の立役者になった。ブンデスリーガで活躍したプロ第1号の奥寺康彦氏、現日本代表監督の岡田武史氏…。「伝統あるチームだし、誇りを感じながらやっていたけど…」とDF坂本。もっとも最近は「伝統」が、逆に重荷にもなっていた。ほとんどの選手が黄金時代を知らない。下村主将は「2部経験がないことは当然プレッシャーでした。ここ1カ月メンタル的に苦しい時期が続いた」と力なく話した。
06年夏にオシム元監督が日本代表監督に転身して、戦力低下が顕著になった。07年オフには日本代表経験者5人が退団。昨季は最終節で2点差を逆転して辛うじて残留を決めた。即戦力中心の補強に方針を固めた今季は、高卒新人を取らず、中後、和田らを補強したが、そのどの選手もレギュラーを取れなかった。三木社長は「補強がうまく回らなかったことも降格の原因」と認めた。
J2降格を聞いた岡田監督は「もうほとんど決まっていたでしょ。しょうがない」と言葉少なだった。横浜FCの奥寺会長は「日本サッカーを引っ張ってきただけに、本当に残念。長い歴史の中でどんなクラブにも浮き沈みはある。これをきっかけに立て直してほしい」と話した。
試合後、三木社長は「1年でJ1に戻すことで、経営者としての責任を果たします」とサポーターの前で約束した。一方で来季のビジョンは「固まっていない」。輝かしい成績を残したOBをフロントに加える予定も現段階ではない。偉大な先輩たちが築いてきた千葉が、幕を下ろした。【盧載鎭】
[2009年11月9日8時27分 紙面から]
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