<J1:鹿島3-1横浜>◇第8節◇24日◇日産ス

 日本トップクラスの司令塔対決で、鹿島MF小笠原満男(30)が横浜MF中村俊輔(31)に「完勝」した。鹿島はアウェーで横浜に勝利。小笠原は前半21分にFKからDFイ・ジョンスの先制点をアシストすると、後半6分には決勝ゴールをマーク。1得点1アシストの活躍で、チームにリーグ戦4試合ぶりの勝ち点3をもたらした。

 日本代表の司令塔、中村になくて小笠原にあるもの-。横浜-鹿島戦の勝敗を分けたのは、カウンターの起点となる小笠原の守備力だった。

 前半40分。自陣中央でボールを持つ中村の懐に入り、腰を入れてボールを奪い取った。そこから鹿島得意の素早いカウンターが始まった。得点にこそならなかったが、守りに回っているように見えて、鹿島が必要なときに点を取れるのは、小笠原の働きが大きい。

 小笠原

 (中村が)ボールを持つと横浜の選手みんなが追い越していくから、そこで(中村から)ボールを取れば(横浜の選手)3~4人を置き去りにできる。だから、そこを狙っていた。

 チームメートの日本代表DF内田が「(小笠原)満男さんは危ない時の空気を読める」と称賛する小笠原の守備力。06年ドイツW杯では攻撃的MFだったが、現在は守備的な位置を務める。「取れる時にしっかりボールを取り切って攻めにつなげることが大事」。相手が攻撃に入った時に中盤でボールを奪い、カウンターへの「スイッチ」となる攻守の切り替えの速さ、その能力は日本随一。W杯で日本の武器となり得る。

 日本代表MF中村との「直接対決」は、存在感で完全に上回った。前半21分にはFKからDFイ・ジョンスの先制点をアシスト。同点の後半6分には、マルキーニョスのクロスに後方からゴール前まで走り込んで決勝点をたたき出した。「相手のセンターバックが(外に)つり出されていたし、中が薄かったので、パスが来ると思って走り込んだ」と、冷静に振り返った。

 2月の東アジア選手権以来、代表からは遠ざかっている。「W杯のためにサッカーをやってはいない。でも、可能性は少ないけど、あると信じてやりたい。23人には入りたいけど、バックアップでもね。お金を払ってでもいきたいから。今はチームで頑張るしかない」。小笠原は不振の岡田ジャパンの救世主となる力を持っている。【菅家大輔】