4度目の正直に懸ける。札幌の石崎信弘監督(53)が20日、札幌ドームで来季契約更新の発表会見に臨んだ。J1残留に向けた最重要ポイントとして、開幕戦勝利を掲げた。札幌では過去3年、主力の流出などもあって1分け2敗と出遅れてきたが、来季は戦力の大幅変更なくスタートできる。継続してきた強固な組織力を生かし、監督交代の多いJ1クラブの出ばなをくじく。

 何としても、スタートダッシュをかける。クラブ最長4年目を迎える石崎監督が、J1定着へ最初のノルマを掲げた。「まずは開幕戦で勝つことが大事じゃ。札幌ではいつもうまくいってないからね。とりたいね」。4年前に昇格した07年柏監督時代は、開幕から4勝1分けと勢いをつけ残留を決めた。札幌も過去J1開幕戦で敗れた98、02、08年は降格、勝った01年は残留。真っ先に勝ち点3を奪うことで、J1生き残りへの流れを呼び込む。

 手応えはある。トップチーム人件費は5億円未満とJ1最低レベルも、来季は中心戦力を維持したまま、準備ができる。「主力が抜かれてきたこれまでとは違う。ここから積み上げられるのは大きい」。09年オフはMFダニルソン、西が移籍、10年オフはMF藤田、上里、DF西嶋、石川ら主力が大量流出した。キャンプで1からチームをつくり直してきた過去3年に比べ、今季はほぼ同戦力でJ1に向き合える。序盤から一気に加速する要素はある。

 さらにJ1は来季、G大阪、鹿島、広島、磐田、C大阪、東京、浦和など複数クラブで監督が交代する。指揮官も戦力も維持できる札幌は新体制のチームより土台は固い。安定した組織力で、個のハンディをカバーすることは可能だ。補強にも限りがあるが「札幌で化ける選手がおるかもしれん。そういう可能性がある選手を取ってくれれば」と言った。今季はJ1で出場機会を失っていたMF河合、DF山下らが新加入し昇格に貢献した。95年から数え来季で監督歴18年目。チャンスに飢えた逸材を爆発させる術も熟知している。

 クラブ11年ぶりJ1開幕勝利に向け「開幕で柏とやるのも面白そうじゃ」と、さりげなくJ王者&世界4位との古巣戦も熱望した。おまけに「ホーム開幕戦は超、超満員でお願いします!」とサポーターに再集結オファーも出した。3日の最終東京戦同様、3万人超えの大観衆とスクラムを組み、過酷なJ1ロードを突き進む。【永野高輔】