<J1:鹿島3-1名古屋>◇第12節◇18日◇カシマ
鹿島が「ジーコスピリット」をみせつけた。20年前の開幕戦(93年5月16日)と同じく名古屋をホームに迎えた一戦を、当時ハットトリックを達成した元FWジーコ氏(60)が観戦。試合前に選手を激励すると、その気持ちに応えるかのように3-1で強敵を退けた。
チームの礎を築いた「神様」の前で熱く燃えた。鹿島はOBのジーコ氏が観戦した名古屋戦に快勝した。前半40分、MF遠藤が得意のドリブル突破から左足で同点ゴール。先制されても全く動揺がないほど集中していた。中学時代、ジーコ氏がブラジルで行っているサッカー教室に参加。ツーショット写真を撮ってもらった少年は「試合を見に来てくれた日にゴールを決められてよかった」と喜んだ。
試合前、イレブンは“極上のカンフル剤”を注入されていた。ロッカールームを訪れたジーコ氏からの力のこもった激励だ。
ジーコ氏
20年前に俺たちはここで戦った。ここまで多くの人がつないできてくれたチームを、ここからはお前らが引き継いでいってほしい。20年前のあの時も名古屋に勝った。今日は絶対負けるな!
重圧にも感じてしまいそうな言葉は、イレブンにとってはこの上ない発奮材料となった。円陣を組み、MF小笠原が引き締める。「ジーコが来ているんだから負けるわけにはいかねーぞ」。主将のひと言で、大の大人たちはサッカー少年よりも熱く、強固な一枚岩となった。
アドレナリン出まくりの選手たちの集中力は、最後の笛が鳴るまで途切れなかった。後半21分、MF中村の移籍後初得点で勝ち越すと、同49分にはFW大迫がとどめのバースデーゴール。チーム関係者が「うちは20年間のベストイレブンに誰も選ばれなかった。それは組織で勝ってきた証拠。うちらしい」と話すように、タイプの違う3選手のゴールで難敵を下した。
93年5月16日の名古屋戦で3得点したジーコ氏は試合後「今日の自分は幸運をもたらす存在だったかな。20年たって、鹿島は日本人が引っ張っていけるようなチームになっている。小笠原らも素晴らしい」とクラブの成長を感じていた。ジーコ氏がもたらした「献身・誠実・尊重」の精神。その言葉はクラブハウスの至る所に張られており、今も変わらず選手たちに引き継がれている。【湯浅知彦】




