<J1:鳥栖2-0甲府>◇第7節◇12日◇ベアスタ

 体が自然に反応した。鳥栖FW豊田陽平(29)は、無意識のうちに右足を振り抜いていた。シュートは左隅へ吸い込まれ、3戦連発でリーグトップの6得点。悲願のW杯メンバー入りをあきらめない、豊田の執念が生んだゴールだった。

 1点をリードして迎えた後半開始早々。ヘッドでDFと競り合ってバランスを崩した直後に目の前にこぼれ球がきた。「自分でも珍しいゴールでした。自然と体が動いた感じです」。ポストプレーが多く、強烈なヘッドが武器の豊田が、弾丸のようなミドルシュートでゴールネットを揺らした。

 「これまでだったらシュートしてなかったかも。今はどうしても結果が欲しい時期なので、ゴールが見えた」。W杯代表候補合宿では結果は残せなかった。ゴールを見せられなかった悔しさがあった。「なんとかリーグ戦で、という思いもあった。合宿だけでメンバーは選ばれないと思うんで、これから結果にこだわりたい」と言葉も力強かった。

 11日に29歳になった。「20代ラストの最初のゲームでゴールできたのは素直に喜びたい」。誕生日と同じ背番号「11」はその決意を表している。バージョンアップしたストライカーが、貪欲にゴールを狙い、W杯代表入りをアピールし続ける。【浦田由紀夫】