[ 2014年2月16日9時6分

 紙面から ]

 ソチ五輪男子フィギュアスケートで日本男子初の金メダルを獲得した羽生結弦(19=ANA)の地元仙台でのパレード計画が浮上した。15日、奥山恵美子仙台市長(62)が「前向きに検討していきたい」と発言した。資金、警備面で問題はあるものの、昨年のプロ野球楽天日本一に続くスポーツ界の明るいニュース。被災地仙台は羽生の偉業を盛大に祝うつもりだ。

 「日本フィギュアスケート発祥の地」とされる仙台からまた1人金メダリストが誕生した。

 06年トリノ五輪の荒川静香に続く羽生の偉業に、奥山市長は「土地の力が追い風になっているんでしょうか」と喜んだ。早くも市民からパレードを開催してほしいという期待の声が市長の耳にも届いており、「何らかの形で市民全体が喜びを共有できるような場が持てれば。まずファーストコンタクトを取るとともに関係各所と相談して前向きに考えていきたい」と、実現に前向きな姿勢を示した。

 市長にはソチ五輪開幕前から「メダルをとれば羽生パレードを」の声が市民から届けられていたという。背景には昨年11月24日に行われた楽天パレードの成功がある。球団初の日本一の快挙を祝おうと、仙台市中心部の東二番丁通り1・5キロが21万人もの楽天ファンで埋め尽くされ、選手と喜びを分かち合った。仙台生まれ仙台育ち、甘いマスクで女性の人気も高い羽生の凱旋(がいせん)パレードとなれば再び杜(もり)の都が熱狂に包まれる。

 ただ、現段階では課題もある。五輪に関わるパレードでは商業色を出すことが禁じられており、スポンサーを募ることが出来ない。06年に行われた荒川のパレードは宮城県、仙台市、ゆかりのある利府町が合同で出資し、多くのボランティアが動いて実現した。大がかりなイベントになるため、警備も万全で臨む必要がある。楽天のパレードでも1億5000万円の費用のうち大部分が警備の人件費に充てられた。荒川や楽天のパレードに関わった仙台市市民局スポーツ振興課佐藤康行課長(51)は「市長のゴーサインが出れば実現できるよう頑張りたい」と意気込んだ。

 宮城県村井嘉浩知事(53)は県民栄誉賞授与を検討していると明らかにした。授与が決まれば個人では元マリナーズ佐々木主浩氏、ノーベル化学賞の田中耕一氏、荒川静香さん、岩隈久志、田中将大に続き6人目。10代では初の受賞となる。リンクの閉鎖、東日本大震災…数々の苦難を乗り越え金メダルにたどり着いた羽生を華々しく祝うため、県民、市民も一緒になり準備を進めていく。【高場泉穂】