桐生祥秀(20=東洋大)の両目から涙があふれた。「悔しいです。こんな形で内定とは思わなかった…」。10秒31でケンブリッジ、山県に先着されて3位。派遣設定記録10秒01をクリアしており、8位以内で初の五輪を決めたが、無念の涙。「本当は人前で泣くのは嫌ですし。勝って泣くならいいんですが。あまりにも情けない」。17歳での10秒01から3年。レース後に初めて涙を見せた。
アクシデントがあった。土江コーチによると、序盤の加速局面で右足にけいれんが起こった。重大なけがにつながらないようにセーブして走ったが、本来の走りは望めない。80メートル付近では顔をしかめて走りのバランスも崩した。本人は「踏み外して。しかたないです」とだけ話して、詳細は語らなかったが、けがのリスクと勝ちたい気持ちのせめぎ合いのまま走り続けた形。レース後はわずかに右足をひきずるそぶりを見せた。土江コーチは「トレーナーが触ってチェックした段階では大事には至っていないという見立て」とした。
涙に暮れた20歳だが、大目標の五輪決勝については「そこを目指すことは変わらない。日本最速と言われるように一層練習したい」と誓った。【益田一弘】

