<陸上:日本選手権>◇最終日◇10日◇大阪・長居陸上競技場

 女子5000メートルの新谷仁美(24=ユニバーサルエンターテインメント)が「お姉さま」のゲキに応えて初五輪を決めた。2000メートル付近で日本記録保持者の30歳福士、今大会1万メートル女王の27歳吉川と3人で抜け出すと、すかさず福士が「行け」と右手を払った。「先輩のおふたりに何度もAを狙っていけ!

 と声をかけてもらって。私なんかのために…力になりました」。3500メートルで福士を振り払い、15分17秒92で初優勝。世代交代を完遂して福士に健闘をたたえられると、たまらずに涙した。

 小出義雄氏(73)に指導を受ける社会人7年目。最近は自ら練習メニューを組むが、「小出門下生」では00年シドニー大会マラソン金の高橋尚子以来の五輪戦士だ。「私は最初からドカン、ズバンといくのが持ち味。残り2カ月、短いか長いかは自分次第」と積極的な走法も口もたくましい。マラソン代表の重友梨佐(天満屋)は岡山・興譲館高の同級生。トラック界の新センターは「切磋琢磨(せっさたくま)して盛り上げたい」と力強く宣言した。【近間康隆】