<福岡国際マラソン>◇7日◇平和台陸上競技場発着(42・195キロ)

 マラソン9回目の藤原正和(33=ホンダ)が2時間9分6秒で日本人トップの4位に入り、前回大会に続く世界選手権代表候補に名乗りを上げた。30キロ過ぎにペースアップした外国選手に日本勢が対応できず、優勝争いには絡めなかった。元世界記録保持者のパトリック・マカウ(ケニア)が2時間8分22秒で優勝。中本健太郎(安川電機)は12位、国内初マラソンの宇賀地強(コニカミノルタ)は自己ベストで9位だった。

 バトオチルは落ちる-。ダジャレで笑えない厳しい現実を、藤原は突き付けられた。約20人の先頭集団を散らそうと、30キロ過ぎにモンゴル人のバトオチルがペースアップ。食らいついたのはマカウら外国選手だけだ。藤原は読んだが後の祭り。「バトオチルは正直、落ちるだろうと思った。そこが誤算だった」。必死に追うが、国内開催でメンツを保つ“アジア勢1位”にも届かず、残された日本人トップにも落胆した。

 手は尽くした。1月下旬に左足かかとを疲労骨折。3月上旬からジョギング開始以降、大体大・石川准教授の助言で接地時のフォーム改造に取り組んだ。故障や貧血に悩んだ時、鉄分摂取にヒジキや鶏の肝煮、青汁を毎食のように献立してくれた麻紀子夫人(32)は「よく頑張ってるよ」「あと少し!」のメッセージを持ちコースで励ました。

 レース結果に日本陸連幹部は「ガッカリした」(酒井強化副委員長)「残念。若手の台頭を期待していたが…」(宗部長)と肩を落とした。33歳の藤原に非はない。これが男子マラソン界の現状だ。「我慢しただけの最低限のレース」と話す藤原が、代表候補1番手になった現実に、後続が奮起しないはずがない。【渡辺佳彦】

 ◆第15回世界選手権(15年8月=北京)男子マラソン代表選考

 代表枠は最大3人。今大会と来年2月の東京、同3月のびわ湖の日本人上位3人と、同2月の別大の日本人最上位選手が選考対象。また日本陸連が設定した2時間6分30秒を突破すれば優位になる。暑さへの適応力があると判断されれば、前述の4大会の順位に関係なくナショナルチームから選出される可能性もある。