【北京5日=阿部健吾】フィギュアスケートの浅田真央(25=中京大)が、最高難度のショートプログラム(SP)で国際舞台に返り咲く。グランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯は今日6日に開幕する。前日の公式練習に臨んだ浅田は、今季初披露となるSPのジャンプ構成を、連続3回転を入れる意向を示した先月より「上方修正」。2季ぶりのGPシリーズ復帰戦で、現在考え得る、女子では最も高度な技に挑む。
浅田が想定を裏切っていった。首都体育館での公式練習。SP「すてきなあなた」の曲が流れ、滑り出す。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、続く連続3回転の前半のフリップまでは予定通り。ところが、その後半でループを跳んだところから刺激的な驚きが会場に満ちた。先月、復帰戦のジャパン・オープンを終えた直後に口にした6季ぶりのSPでの連続3回転への挑戦。そこではフリップの後にトーループを跳ぶことになっていた。
そのまま滑り、後半に単独で跳んだのは3回転ルッツ。これもループのはずだったが…。「やはりフリップ-ループの方が跳びやすいので」。幼少期から連続ジャンプの後半はループだった。今大会へ滑り込むうちに、より難しい挑戦を決断。ルッツに手応えがあるからこそ、決断できた。
06年トリノ五輪後に左足のエッジの外側を使うルッツと、逆に内側を使うフリップの踏み切りが厳格化された。浅田はルッツが苦手。違反を避けるために、SPでルッツを入れたのは08年のNHK杯、GPファイナルなどに限られていた。それが10年バンクーバー五輪後に取り組んできた地道な改善で「楽に跳べる」までに修正できてきた。SPでは同じジャンプの重複は違反になるため、ルッツに自信がない時期はループやフリップを単独ジャンプにしてきた。ルッツを跳べることで、それらを連続ジャンプに組み込めた。
浅田 今まで積み重ねてきた集大成として、SPを目標の構成にできた。(14年)世界選手権で世界最高得点を出した時よりレベルの高いものをやりたい。
ジャンプの基礎点だけで14年世界選手権の時より4・11点も高くなる。そして何より、現在の現役女子選手の最高到達点とも言える構成となる。
05年に同じ会場でシニア大会デビューを飾り10年。今大会では最年長と時は過ぎるが、「女子のスケート界のレベルは上がってます。私自身もレベルアップしないといけないし、引っ張っていかないといけない」。朗らかな口調に、自負が際立っていた。
◆なぜ最高難度か 3回転ジャンプの得点はアクセル(8・5)、ルッツ(6・0)、フリップ(5・3)、ループ(5・1)、サルコー(4・4)、トーループ(4・3)と難度に応じて得点が決まっている。浅田はこの上位4つを跳ぶ。3回転半を成功させているのは現役では浅田とトゥクタミシェワ(ロシア)のみ。さらに一般的には連続ジャンプの後半はトーループが主流で、フリップ-ループを跳ぶ選手も限られる。


