「いろいろ考えた結果、考えるのをやめようって」。女子で3位ながら、ファイナル進出は決めた浅田真央(25)は29日、スッキリとした表情をみせた。GPシリーズの連勝も「8」で止まる結果。好調だったジャンプにミスが続き、順調だった復帰ロードが滞った。前夜はマイナスもプラスも考えは巡ったが、「自分が望んできた(復帰した)選手。目指すものをただやるしかない」と語気を強めた。

 ファイナルまでは2週間あまり。「できることはとことんやる」。練習では単発ならば復帰前より手応えがあるジャンプを、試合ではまとめきれない。波がある現実を受け止め、鍛錬するしかない。ファイナル初出場は05年。優勝し、翌年のトリノ五輪に年齢制限で出られないことが物議を醸した。10年後、「あの時は一番下だったのに、今度は一番上ですね」という25歳は、初訪問のスペインに「バル(酒場)という感じ」と印象を口にして笑った。

 男子での技術進化には、「毎年レベルは上がってくる。スケート界はずっとそう。尽きないんじゃないか」。女子では自身はトリプルアクセルに挑戦し続けてきた。今大会では失敗したが、安定感は増している。女子の高みへの挑戦者は「焦らず、自分のペースでやっていく」と自分に言い聞かせた。【阿部健吾】