女子テニスで元世界ランキング1位のマリア・シャラポワ選手(28)が7日、1月の全豪オープンのドーピング検査で陽性反応が出たことを明かした。

 1月から禁止薬物となった「メルドニウム」は東欧らのアスリートに違反が相次ぐ。「禁止薬物リストを見なかった」と過失を主張しているが、大きな代償を支払うおそれがある。

 ロサンゼルスで行われた記者会見。前日に「重大発表」と予告され、米メディアは故障による引退表明の可能性を報じていた。だが、黒一色の服で登場したスター選手の告白は、予想を裏切る薬物違反。「大きな過ちを犯した」と神妙に話し、うつむいた。

 不整脈の治療などに用いられるメルドニウムは、昨年は監視対象の薬物だったが、競技力向上を目的に服用した選手が確認され、ことしから禁止薬物に追加された。

 シャラポワ選手は医療目的で10年間服用し、昨年12月下旬に届いたメールにリンクされた改訂リストを「クリックしなかった」と説明。ただ、トップ選手の多くはドーピングの知識を持つスタッフをつけており、元選手の杉山愛さんは「用心に用心を重ねる必要があった。ただ、彼女だけのミスとも言えない」と周囲の落ち度も指摘した。

 “過失説”には疑問も残る。17歳でウィンブルドン選手権を制し、第一線を歩み続ける選手が重要な通知を見過ごしたというのはあまりにずさんだ。事前申請が認められれば、医療目的で使用可能だった。

 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によると、メルドニウムの資格停止期間は原則4年。シャラポワ選手が医療目的だと証明できなければ軽減されないという。長期の資格停止となれば、直近1年間のポイントで決まるランキングは下落し、イメージダウンも避けられない。

 米紙などによると、時計メーカーのタグ・ホイヤーは契約更新しないと発表した。米誌フォーブス(電子版)によると昨年の収入は2950万ドル(約33億9000万円)。凋落(ちょうらく)を予感させるスター選手から、早くもスポンサーが離れ始めた。