政府は13日の閣議で、リオデジャネイロ五輪のレスリング女子58キロ級で金メダルを獲得し、女子個人種目で五輪史上初の4連覇を達成した伊調馨(32)に国民栄誉賞を授与することを決めた。菅義偉官房長官が発表した。授与式の日程は今後調整する。伊調は同日夕、東京都内で記者会見する。

 菅氏は、授賞理由について「人一倍の努力と厳しい修練の積み重ねにより、世界的な偉業を成し遂げ、多くの国民に深い感動と勇気、社会に明るい希望を与えた」と説明した。

 国民栄誉賞は伊調で24人・団体となり、レスリング界では2012年に受賞した吉田沙保里に続いて2人目となる。伊調は青森県出身で、63キロ級で04年アテネ、08年北京、12年ロンドンの各五輪で金メダルに輝き、58キロ級で臨んだリオ五輪の決勝は逆転勝ちで4連覇を果たした。

 松野博一文部科学相は「世界的な偉業で、日本人としての誇り。伊調選手を目標に若い世代も頂点を目指し(国民も)スポーツに関心を持ってもらえたらいい」とたたえた。丸川珠代五輪相は「(五輪決勝で)逆転勝ちした精神力の強さは、国民に大きな感動を与えた。私も大変うれしい」と述べた。

 国民栄誉賞は1977年に創設。五輪金メダリストでは、吉田のほか、柔道の山下泰裕、女子マラソンの高橋尚子両氏に授与されている。

 安倍政権はこれまで、国民栄誉賞を大相撲の元横綱大鵬の故納谷幸喜氏と、プロ野球元巨人監督の長嶋茂雄氏、元プロ野球選手の松井秀喜氏に授与している。