10月のGPシリーズ第1戦スケートアメリカを制した宇野昌磨(18=中京大)が、GP2連勝を逃した。ショートプログラム(SP)首位で臨んだフリーで186・48点、自己ベスト更新の合計285・07点で2位。SP2位の世界王者フェルナンデスに逆転負けした。2季連続のGPファイナル(12月、マルセイユ)出場を一番乗りで決めた。

 演技を終えると宇野は「ふーっ」と力を抜いて笑った。「なぜだか分からないが、いつものように本番で力がわき出る感じがなかった」。最初の4回転フリップ、続く4回転トーループは成功。順調に見えたが、連続ジャンプが単発となるなど、後半にミスが重なった。最終滑走のフェルナンデスの演技が終わると負けを悟ったように拍手を送った。「全体的にいい流れではなかった。悔しいが、何とかまとめたという感じ」と現実を受け止めた。

 だが、SPと合わせGP初戦でマークした自己ベストを5点以上更新。シニア2年目で2季連続のGPファイナル出場を決めた。連続ジャンプが抜ける痛いミスがあっても技術点は96・12点と高得点をマーク。腕をしならせ妖艶にタンゴを舞う表現力も磨きがかかり、演技構成点でも5つの要素中4つで9点を得るなど、安定した力を示した。

 あらゆることに無頓着だ。髪形は常に切ってくれる人におまかせ。現在のヘアスタイルも寝ている間にいつのまにかパーマになっていた。服も両親に買ってきてもらったものをそのまま着る。遊びももっぱらゲームと好きなアニメ鑑賞ばかり。食べ物もバランスなど気にせず野菜は避ける。だが、スケートへのこだわりは細かい。フリーは、10月のジャパンオープンの後に「ジャンプとジャンプのつなぎが薄い」と、4回転の前にステップを入れるより難しい跳び方へと変えた。完璧な演技を求め、試行錯誤を続ける。

 シニアデビューの昨季は「勝てる実感がなかった」が、今は「実力を発揮すればトップを争える」と自信をもって口にする。「この悔しさを成長のばねにできれば無駄ではなかったことになる。それを証明したい」。2季連続のGPファイナルでさらに成長した姿をみせる。

<宇野昌磨(うの・しょうま)アラカルト>

 ◆きっかけは真央 1997年(平9)12月17日、名古屋市生まれ。スケートを始めたのは5歳の時。当時小6だった浅田に「スケートやろうよ」と声をかけられたのがきっかけ。憧れの選手は高橋大輔さんで、06~07年フリー「オペラ座の怪人」を見て一目ぼれ。

 ◆史上初4回転フリップ 14年ジュニアGPファイナル、15年世界ジュニア選手権優勝。15~16年シーズンからシニアデビュー。15年GPファイナル3位。16年4月のチーム・チャレンジ杯で史上初めて4回転フリップを成功した。

 ◆家族 両親と弟。