エース宮原知子(さとこ=18、関大)が、3連覇を飾った。SP首位で迎えたフリーで138・38点を記録。国際スケート連盟非公認ながら、合計214・87点の“自己ベスト”で2位以下に大差をつける独走V。女子シングルの3連覇以上は、浅田真央(06~09年)以来となった。18年平昌五輪の出場枠がかかる世界選手権(来年3月、ヘルシンキ)にエースとして臨む。

 理想の姿はまだ先にある。宮原は、3連覇がかかる演技直前、浜田コーチに「狙って勝ちにいけ!」と言われた。あえて重圧をかける言葉に「勝ちたいと思った場面でしっかり勝つのが本当の金メダリスト。強い人になりたい」。前半の連続3回転は力んで着氷が乱れた。その後はほぼ完璧で、昨年大会の212・83点を更新する“自己ベスト”で独走V。それでも「全体的にスピードがなかった。もっといい演技がしたかった」と悔しがった。

 何事も練習するのが宮原スタイルだ。21日の開会式では選手宣誓。控えめな18歳が「我々、選手一同はスポーツマンシップにのっとり、魂を込めて、正々堂々戦うことを誓います」と100人以上の前で宣誓。「『魂を込めて』は自分で考えました。宣誓の(発声)練習もしました」。テレビで娘の映像を見た父亮さんは「(選手宣誓は)初めてでしょう。ちゃんと言ってましたね」と目を細めた。

 競技も宮原スタイルだ。関大のリンクで、曲をかけて練習する際は「宮原知子さん!」というアナウンスを流す。本番の衣装を着ることもある。笑顔もガッツポーズも練習する。公式練習の曲かけでは、ジャンプでこけてもすぐに立ち上がって動き続ける。常に本番を想定してミスをリカバーしながら、演技を通すことが安定感につながる。

 五輪選考だった13年の全日本選手権は4位でソチ切符を逃した。その後も努力を続けて、日本女子の絶対的なエースになった。鏡の前で笑顔を作り、本を読み、映画を見た。今季のフリーを作る際も得点がアップする後半に連続ジャンプを入れる希望を、浜田コーチに伝えた。同コーチは「今までは言われたことに『はい、はい』だったが、自分の意見も言えるようになった」と成長を認めている。

 宮原は「調子がいい時も悪い時も振れ幅が大きくならないようにしたい」。15年世界選手権銀、GPファイナル2年連続2位と実績は十分。18年平昌五輪の枠がかかる世界選手権で、世界女王メドベージェワがいるロシア勢の牙城を崩すのは宮原だ。【益田一弘】