フィギュアスケート男子で歴史を切り開いた高橋大輔選手が現役を引退することが14日、分かった。

 世界ジュニア選手権や世界選手権、グランプリ・ファイナルでの優勝、五輪でのメダル獲得はいずれも日本の男子で初の快挙だった。女子の陰に隠れてきた男子の注目を高め、黄金期を築き上げた。

 いわゆる“イケメン”で、飾らない性格が女性の心をつかんだ。大会やアイスショーでの集客力は抜群で、応援しようと海外まで足を運ぶファンも少なくない。軽やかなステップや天性の感覚で音を捉えた踊りは海外のトップ選手も一目置いた。実力と人気を兼ね備え、世界から愛されたスケーターだった。

 昨年11月に右膝の痛みが再発し、たまった水を何度も抜かざるを得なかった。ソチ冬季五輪は勝負の鍵を握った4回転ジャンプが決まらずに6位。多くの選手が1試合で4回転を複数回成功する時代になり、3度目の五輪で「自分の限界を目の当たりにした」と漏らした。

 集大成との覚悟でソチ五輪に挑んだ後「体より気持ちがきつい。気持ちの部分で戦っていけない」と語った。日本開催だった3月の世界選手権を欠場し、選手生活にピリオドを打てなかったことが心残りかもしれないが、高橋選手が醸成した強豪国のプライドは五輪金メダルに輝いた羽生結弦選手(ANA)ら後輩に受け継がれた。