<陸上:全国高校総体>◇7月31日◇3日目◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 静岡県勢のメダル第1号だ!

 陸上の男子400メートルリレーで、藤枝明誠が41秒02で3位に入った。1走加藤雅也が好スタートを切ると、2走飯塚翔太(ともに2年)もケガをこらえて力走。3走粳田竜之介主将で1度はトップに立った。最後はアンカー天野裕太(ともに3年)がこらえて銅メダル。ケガの影響から、ベストメンバーで走ったのは5月の中部地区大会以来、2カ月半ぶりだったが、団結力でメダルを手にした。

 隣から迫る恐怖と闘いながら、天野が懸命に駆け抜けた。3走粳田からバトンを受けた時は、右隣6レーンの宇治山田商とほぼ並んでのトップ。強豪ぞろいのアンカー勝負で、必死に逃げた。最後は洛南にも抜かれたが、順位は昨年の7位から大躍進の3位。「1位でバトンをもらったので悔しいけど(41秒76の)ベストを大幅に更新できたので良かった」。天野はガッチリと、粳田と握手した。

 5月末の県総体直前に粳田が左太ももを肉離れし、約1カ月も部活を離れた。全国切符が懸かった6月の東海総体直前には、エース飯塚が左太もも肉離れで離脱。「全国はダメかもしれないと思った」(清尊徳監督=39)中、残ったメンバーが踏ん張り最後の6位で通過した。粳田は「仲間、家族、先生といろいろな人に支えられた。このバトンを全国でつなげないといけないと思った」と感じていた。

 個人種目を棄権しリレーに専念して迎えた今大会。加藤は「話し合いが増えてバトン練習が多くなった」と団結力を感じた。今大会直前に再び、左太ももを痛めた飯塚は「気持ちで走った。ずっと迷惑をかけていたので、恩返しが少しできたかな」と胸を張った。苦しみ抜いた先に、最高の笑顔が待っていた。【今村健人】