男子テニスの錦織圭(19=ソニー)が右ひじの故障のため、24日開幕の4大大会第2戦の全仏オープンを欠場することが19日、分かった。出場を前提として準備を進めていたが、拠点を置く米フロリダ州でスタッフらと話し合い、錦織本人が、右ひじに「まだ痛みがある」と欠場を選択した。この欠場によって3月中旬から少なくとも約2カ月半、実戦から遠ざかることになる。6月22日開幕のウィンブルドン出場を目指すが、錦織にとっては、テニス人生で最も長い離脱期間となりそうだ。

 錦織が最も楽しみにしていた全仏の出場を自ら断念した。順調に練習を重ねていたが、まだ右ひじに痛みが残っていた。この日の朝、本人と電話で話した父清志さんは「不安があるようだった」。拠点とするIMGアカデミーのスタッフは出場を勧めたが、錦織は慎重になっていたという。

 清志さんは「苦渋の決断だったろう」と、息子の心中を察した。全仏は、錦織が最も好きな赤土が舞台で本戦からの出場も決まっていた。20日からエキシビション大会(パリ)を調整試合とし、全仏につなげる計画まで立てた。練習では、2セットぐらいまでは問題がなかったが、3セットを超えると右ひじに違和感が出るようだ。全仏の赤土は球足が遅く、ラリーが長くなる。清志さんは「5セット試合には耐えられないと判断したようだ」と話す。

 今季の開幕戦となった1月のブリスベーン国際で右ひじを痛めた。3月には国別対抗戦のデ杯に出場したが、痛みを取り除く治療などでツアーを欠場していた。清志さんは「テニスを始めて、こんなに長く試合をしなかったことはなかった」という。3月12日にBNPパリバオープンで初戦負けして実戦から遠ざかり、仮に復帰を予定する6月1日開幕のツアー下部大会(英ノッティンガム)に出場できたとしても、空白期間は80日間になる。

 スポーツ飲料水「ゲータレード」を販売するサントリーと契約し、19日から初のCMが放送された。全仏を放送するWOWOWのテニスキャラクターとして、初めて迎える4大大会だったこともあって、マネジメント担当者も「残念です」と落胆を隠せない。錦織にとってはテニス人生で最もつらい時期かもしれない。

 その悔しさを、芝でのウィンブルドン(6月22日開幕)にぶつける。球足の速い芝は、短時間で試合が決着するため右ひじへの負担も少ない。テニス界最高峰の舞台で復活にかける。【吉松忠弘】