<卓球:全日本選手権>◇最終日◇23日◇東京体育館

 日本のエース水谷隼(21=明大)が、男子シングルスで史上初の5連覇を達成した。圧倒的な強さで勝ち上がり、決勝でも張一博(25=東京アート)に4-0とストレートの完勝。世界ランク7位の実力を見せつけて、斎藤清らの持つ4連覇を抜いた。国内敵なしをあらためて証明したエースは、5月の世界選手権(オランダ)と来年のロンドン五輪でのメダル獲得を宣言。卓球人気回復を目指して、日本を引っ張る。

 最後のフォアスマッシュが決まると、水谷は右こぶしを握って「よし」と声を出した。昨年準決勝で4-3と苦戦した相手に、計23ポイントしか与えないストレート勝ち。驚異的な強さにどよめくスタンドは「みんなが5連覇を疑わない中、できるだけ簡単に優勝しようと思いました」という強気のコメントに沸いた。

 優勝まで6試合で、失ったゲームはわずか2。11、9、6、5だった過去4大会と比べても楽々と勝ち抜いた。これまで苦手とされたバックハンドも改善。男子代表の宮崎監督は「水谷を目標に若手も成長しているが、水谷の成長度はそれ以上。頼もしいエースに育った」と舌を巻いた。

 準々決勝では、16歳の丹羽を相手に力の差を見せつけた。岸川と組んだ前日のダブルス決勝で丹羽、松平健組に5連覇を阻まれた後「若い芽は早めに摘む」と宣言。「完膚なきまでにたたきたいと思っていた」という言葉通りに圧勝した。「まだ(天皇杯は)渡せないですね」と水谷。8強に教え子6人を輩出した青森山田高の吉田総監督は「当分、勝つ人は現れない。斎藤(優勝8回)も簡単に抜いちゃうよ」と笑った。

 もちろん、世界ランク7位が意識するのは世界だ。5月の世界選手権、会見では「今までで最高の成績を」と言葉を濁したが、テレビのインタビューでは「シングルスでメダルをとりたい」と宣言した。

 「ロンドン五輪へ、今年は大事な年」とも言った。シングルスの出場枠が1カ国2人(北京大会は3人)になるから、メダルの夢は膨らむ。強豪の中国勢を2人倒せば金も夢ではない。明大の児玉総監督も「僕と水谷には、メーンポールに日の丸があがるイメージができている」と期待した。底も知れない成長を続ける21歳は「自分が思っている以上に、自分は強いのかもしれない」と言った。かつての「卓球王国」復活が、水谷の肩にかかる。【荻島弘一】