ソチ五輪出場一番乗りを果たした女子アイスホッケー日本代表が臨時ボーナスをゲットする。日本アイスホッケー連盟は11日、1人に10万円ほどの報奨金を支給する案の検討に入った。メダル獲得ではなく、出場だけで報奨金が出るのは珍しい。異例ではあるが、アルバイトをしながら競技を続け、4大会ぶりの五輪出場権を獲得した選手たちの努力に報いる考えだ。快挙から一夜明け、日本連盟には電話が殺到。女子アイスホッケーブームの到来を予感させた。

 恵まれない競技環境だった「氷上のなでしこ」たちが人生を変えた。10日の五輪最終予選で日本女子代表はデンマークを5-0と圧倒してソチ五輪出場権を獲得。一夜明けた11日、日本連盟の強化本部長でもある坂井寿如常務理事は「彼女たちの努力に少しでも報いたい」と1人約10万円の報奨金の検討に入った。

 メダルではなく、異例の五輪出場での報奨金には理由がある。企業チームのない女子アイスホッケー選手は練習時間を確保するため、定職には就かず、アルバイトで生計を立てる。厳しい経済事情の中、最終予選に向けた強化合宿では、国内で1万円、海外で5万円を自己負担している。日本連盟としては、まず合宿の自己負担分をお祝い金として返還する狙いがある。

 厳しい環境にもめげず、一心に競技に打ち込んで結果を出す。サッカーのなでしこジャパンを思い起こすような女子選手のひたむきさの反響は大きかった。連盟のサイトへのアクセスが殺到し、サーバーがダウン。フェイスブックのいいね!

 も3000人を超えた。取材申し込みや一般の人からの問い合わせもひっきりなしで、建部彰弘事務局長は「コールセンターみたい」と驚きを隠せなかった。

 国内でのアイスホッケー人気は低迷している。04年に木村拓哉が主演したテレビドラマ「プライド」の効果で、一時は注目されたものの、その後は低落傾向。日本連盟としても今回の女子の躍進をアイスホッケーの人気拡大、注目度アップにつなげていく方針だ。

 なでしこジャパンは11年W杯優勝で、女子サッカーの環境、待遇を高めた。女子アイスホッケーの選手たちも「五輪に出れば(競技)環境が変わる」を合言葉に、アルバイトと競技を両立してきた。ソチ五輪一番乗りで注目度が増し、スポンサーも増えることは間違いない。日本連盟の報奨金は、待遇改善の1歩になる。

 ◆デンマーク戦VTR

 10日、スロバキアでの最終予選の最終戦でデンマークと対戦。勝てば五輪出場の大一番で、日本は開始から持ち前のスピードを生かしペースを握る。第1P9分にFW獅子内が先制点を奪取。終了間際には、「最後のチャンス」と現役復帰したFW久保が追加点を奪った。第2PにはFW平野、久保が2得点を決め4-0と突き放す。第3PにはDF小池がダメ押しの5点目を奪って5-0で完勝。ソチ五輪出場一番乗りを決めた。

 ◆ソチ冬季五輪アイスホッケー女子

 8カ国が出場。自動的に出場権がある世界ランキング1~4位のカナダ、米国、フィンランド、スイスが上位リーグ。5位スウェーデン、6位ロシアと最終予選を勝ち抜いた8位ドイツ、11位日本が下位リーグを構成する。それぞれで1回戦総当たりのリーグ戦を行い、準々決勝は上位リーグ3位-下位リーグ2位、上位リーグ4位-下位リーグ1位が対戦する。上位リーグの1、2位は準決勝から登場する。