タミル夫人とは対照的に、朝青龍(28=高砂)は精彩を欠いた。緩んだ体が、日馬富士のスピードについていけない。出し投げで振られると、あっさり尻もち。豪快に投げられ、背中には2度もべっとりと砂がついた。6勝6敗の五分で辛くも面目は保ったが、内容は完敗だった。最後は相手の疲れか、お情けか、3連勝。「力抜くな」と小声でつぶやくのが精いっぱいだった。
とんだ「返り討ち」だった。けいこを休んでラジオ収録、CM撮影した前日2日夜。日馬富士にメールした。「明日、どこ行くの?」。モンゴルの後輩には先場所、土俵に腰を打ちつけられ完敗した。綱とりに挑む日馬富士の「カベになりたい」と、場所前から横綱の強さをたっぷり教えるつもりだった。それが逆に勢いの差を痛感させられた。けいこ後は「すごくいい」「褒めるしかない」「優勝が大きな自信になっている」などと、日馬富士をほめ殺しするしかなかった。
関脇稀勢の里らとの対戦も含め、合計9勝7敗。左ひじにテーピングし、腰を指さして「×マーク」をつくるなど、万全にはほど遠い。「調子が良くなかったね。(日馬富士と稀勢の里は)一番元気な2人だから。横綱としてもいい経験。自分もプラスになる」。精いっぱい強がっていた。【近間康隆】

