<大相撲名古屋場所>◇7日目◇17日◇愛知県体育館

 熱い歓声に横綱が燃えた!

 横綱白鵬(25=宮城野)が平幕旭天鵬(35)を上手投げで下し、初場所14日目から39連勝とした。今場所初の「満員御礼」に応える豪快な白星は横綱通算250勝目。19場所目での250勝到達は、大鵬の20場所目を抜く史上最速となった。場所前には、昨年の年間最多86勝を記念した浴衣をアイドルグループ「嵐」にプレゼントしたが、賭博問題の影響でテレビ番組ではオンエアされず。この日から付け人全員が身につけてきた。大関琴欧洲(27)と平幕の鶴竜(24)豊真将(29)も全勝を守った。

 白鵬の胸が高鳴った。3連休の初日、待望の「満員御礼」の垂れ幕が下りた。「一段と気合が入りましたね。こういう時に来てくれる方々は本物ですから。そういう意味でも一生懸命やらないと」。踏み込み良く得意の右差し、左上手の形になり、モンゴルの先輩を容赦なく土俵にたたきつけると、館内は強さへのため息に包まれた。

 3年前の名古屋場所から重ねてきた横綱250勝目。勝利数は歴代12位の北勝海(現八角親方)と並び、19場所目での到達は大鵬や朝青龍を抜く史上最速。さらに初場所から続く平成最多の連勝を39に伸ばした。「自然と体が動いている。多少(連勝)意識があるからかな」と振り返った。

 この日、白鵬の付け人全員が、まわしと同じこげ茶色地に「八六」「86」「八拾六」などと書かれた今年の浴衣を着用した。昨年の年間最多86勝を記念し、白鵬がデザインした自慢の一品だ。実は賭博問題の影響を受けていた。夏場所後、テレビ番組で「嵐」と共演。メンバー5人分の浴衣を特注し、6月15日の収録でプレゼントした。浴衣を着たメンバーの姿が3日に放送されるはずが、2日に自らの賭け花札が発覚。番組内容は急きょ変えられ、お蔵入りした。ある付け人は「一体感を出して、少しでも横綱の励みになれば」と明かした。

 角界の混迷は先が見えないが、力士は土俵で魅せることが第一だ。「(連勝記録で)1人でも2人でも見たい人が増えてくれれば。自分自身が頑張ることです」。8日目に勝てば3場所連続のストレート勝ち越しと40連勝。白鵬は強さとともに、相撲のすばらしさを伝えていく。【近間康隆】