大相撲春場所の中止決定から一夜明けた7日、力士たちは無念の思いを口にした。先週に引き続き、力士の健康診断が、東京・両国国技館で行われた。関脇稀勢の里(24=鳴戸)の兄弟子、幕内若の里(34)は、真剣勝負に挑む力士としての心境を吐露。八百長問題の影響で、ほかの力士も疑惑の目で見られるつらさを口にした。
若の里は春場所中止について「ショックですよ。ショック、ただそれだけです」と話し、訴えるように続けた。
若の里
まじめにやっている人は、たくさんいますからね。悪いことばかりが報道されるけど、夢に向かって汗を流している人はいっぱいいることも分かって欲しいです。
八百長に関与していた力士が判明し、無関係の力士まで疑惑の目を向けられる。若の里は先月の初場所、7勝1敗から6連敗し、7勝7敗で千秋楽を迎えた。そして光龍を肩透かしで下し、勝ち越した。直後の支度部屋では「ああ、長かった」とため息をもらし「1つ勝つって、難しいですよ」と話していた。
若の里
千秋楽の前の日から緊張して、やっと勝ったと喜んでいた。でも(テレビの)街頭インタビューで、7勝7敗の力士ばかり勝つのはおかしいと言っていた。そういう目で見られるのは、つらいですよね。
稀勢の里も思いは同じはずで「残念で悔しいけど、人は人、自分は自分」と、真剣勝負への思いを胸に秘めた。幕内豊真将(錣山)は「悲しいですね。楽しみにしている人もいたのに」と悔やんだ。モンゴル出身の旭天鵬(大島)は「初めての経験だから、どうしたらいいか分からない。日に日に事態の大きさが分かってきた。何に向けて稽古をしたらいいか分からない」と神妙に話した。
ブラジル出身の十両魁聖(友綱)は春場所の新入幕が確実視されていたが、これもお預け。「ブラジルのニュースでもやっているみたい。父は『残念だな』と言ってました」と話した。幕下磋牙司(入間川)は再十両が決まっているが、同じ部屋の恵那司が八百長に関与したこともあり、無言のまま国技館を後にした。
八百長と無関係の力士は今、耐えるしかない。放駒理事長(元大関魁傑)は「明日なき稽古、ではない。ぜひみんなそんな気持ちで、耐えて、頑張ってほしい」と、エールを送った。【佐々木一郎】

