阪神ベンチが同点の延長12回に送り込んだ斎藤、桐敷、馬場のリリーフ陣が崩壊した。この回一気に5点を奪われては、その裏の反発力も望めなかった。

梨田 それぞれが力を出し切れていないのだろうが、リリーフ陣の層の薄さをさらけ出した。今シーズンは「9回打ち切り」から「延長12回制」にルール改正されて戦い方が変わらなければいけないのに、それに対応する戦力整備ができていないから、開幕から厳しい戦いを強いられている。点の取られ方もチグハグで後手に回った。

最終回の大量失点はさておき、勝負の“アヤ”は9回にあった。8回を終えて球数が92球だった伊藤将がプロ初完封勝利の寸前に追い付かれる。2死二塁から4番牧の適時打で同点になった。

梨田 阪神ベンチは迷ったはずだ。絶対的抑えのスアレスがいれば、伊藤将からスイッチしていた。だが9回のマウンドに送り出すのに球数は問題なかったが、信頼できるストッパーがいないから、ベンチは決断を下せないということだろう。それは前日5日の西勇に9回を投げ切らせた一戦にも言えた。それに牧のカウント1-1になった時点で、伊藤将は二塁にけん制を投じたが、ベンチの指示か、野手からのサインかは不明だが、9回は伊藤将に任せたのだから、結果論でなく4番打者との勝負に集中させてほしかった。

打線もDeNAの先発石田を打ちあぐんだ。5回2死一、二塁から、投手伊藤将の左前タイムリーの1点だけの寂しさだった。

梨田 ただ6回1死二塁の場面で、大山のボテボテの三ゴロがヒットになったが、二塁走者・糸井は三塁に進まないといけなかった。続く糸原が中飛でアウトになったが、糸井が三進していれば犠飛になって追加点になっていた。ちゃんと状況判断をしないと競り合いを拾えない。それは11回に大田の打球に飛び込んで後逸し、三塁打にした佐藤輝の外野守備にも言えることだった。岩崎の投球内容は良くなかったが、湯浅は収穫だった。いずれにしてもリリーフで逃げ切る形を早く作ることに尽きる。【取材・構成=寺尾博和編集委員】