阪神が、痛恨の逆転負けで引き分けをはさんで4連敗を喫した。先発西勇輝投手(31)が7安打されながらも7回無失点と粘ったが、2番手湯浅京己投手(22)がつかまり、逆転を許した。1勝13敗1分けで15試合を終えて借金12。これは2リーグ分立後、プロ野球最多。日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(68)が解説した。

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立浪中日との初対決だった阪神が逃げ切りに失敗した。1点リードで投入した湯浅が、8回に2点を奪われてひっくり返された。

梨田 ベンチとしては最善を尽くした負けだったといえる。西勇は前回登板(5日対DeNA)は完封だったが、この日は球数も108球だったし、湯浅への交代は間違いではない。8回湯浅、9回岩崎の勝ちパターンに持ち込もうとした。だがこれまでの湯浅と違ってこぢんまりというか、大事に大事にいこうとしているようにみえた。

8回の湯浅が対した中日の打者は5人だったが、すべて最終球がフォークだった。同点打の阿部にも、逆転打の石川昂にも、湯浅が投じた勝負球を打ち返された。

梨田 中日は湯浅の狙い球をフォークに絞っていたようだった。阿部には落ちきらず、石川昂には捕手が地面ギリギリに構えたようなフォークを拾われた。湯浅は「セットアッパー」「抑え」のポジションに場慣れしていくしかないわけで、ベンチも再びチャンスを与えてほしい。

また打線も大きく組み替えて臨んだ一戦だったが、島田、山本の1、2番は機能しなかった。

梨田 チーム状態を考えたら矢野監督が大胆に動いたのは理解ができた。わたしも経験があるが、何かを変えないと好転しないからだ。1番島田は4打席でピッチャーに計9球しか投げさせていないのはいただけない。「3番」がつながらないから近本を起用し、トップに島田を抜てきしたのだろうが、選手も役割を考えてプレーしないと勝てない。

笛吹けど踊らず。開幕から投打がかみ合わず、借金は「12」になった。

梨田 この状況は監督だけが責められるべきではない。選手たちは意気に感じて戦っているのか。ここはコーチも、スタッフも、フロントも、1つになって戦い抜くことを再確認すべきだ。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】