エンゼルス大谷が珍しく、6四死球と乱れた。得意としているスイーパー(横に曲がるスライダー)の制球が悪かった。球速も出ていなかった。全球種で最多の44%を占めたが、調子が悪い中では使い過ぎの印象を受けた。投球時の体に「ため」がなく、頭が突っ込んでしまっていた。すると腕が遅れてくるので、右打者側にボールが抜けてしまう。抜けるのを抑えようとすると、今度は左打者側にボールを引っ張り過ぎる。曲がりが大きくなり、ストライクゾーンに制球しきれなかった。下半身に疲れがたまると粘りが出ず、こうした投げ方になりがちだ。
重圧のかかるWBCの決勝で投げてから、中2日の練習試合で5回81球を投げた。さらに中5日で開幕を迎え、初登板にもかかわらず93球。この日も中5日で登板し、5回で93球に達していた。交代すべきと感じたが、6回も続投して111球。いくら体が強い大谷とはいえ、投打二刀流の負担もあり、疲労が心配だ。私も投げていたシアトルは、この時期は気温10度と寒い。寒い中で投げると筋肉が硬直しがち。疲労を抜くため、1日でも休みを入れた方が良いと感じた。
調子が悪い中でも、勝てたことはよかった。フォーシームは低めに制球できていた。全体の21%だったが、スイーパーが決まらないのなら、もう少し活用すべきだろう。フォーシームとツーシーム、カットボールなど速球系が約4割、スイーパーやスプリット、カーブなど変化球が約6割だった。この割合が逆になるくらいがちょうどいい。
初めて投打でピッチクロック違反を取られた選手になったが、ルールなので回数を重ねて慣れていくしかない。間を取るということができない点は、疲労にもつながるので気を付けたい。次回登板までにどこまで回復し、いつも通りの投球フォームに戻るのかを注視したい。(日刊スポーツ評論家)




