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【里崎智也】今季未勝利の巨人戸郷翔征、違和感感じた投げ終わりの左足
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- 阪神対巨人 巨人先発の戸郷(撮影・西尾就之)
<阪神4-0巨人>◇20日◇甲子園
巨人戸郷翔征投手(25)の初回、立ち上がりを特に注目していた。今季は未勝利。序盤に失点するケースが目立っていた。何が原因か、フォームを中心に気づいた部分があった。
私はロッテ時代、清水直さん、小林宏之、渡辺俊、成瀬ら主力投手のイメージアップビデオを自宅に備えていた。誰に言われたわけではないが、いい時のフォームを日ごろから見ることが、いつか役に立つと思っていた。
一番いい時のフォームを繰り返し見ていると、当然気づきはある。ミットを構えて、一番近くで日々のピッチングを目の当たりにしている。比較すれば、おのずとヒントは見える。不調に陥りそうな時、あるいは調子を落とした時、アドバイスが可能になった。
そんな経験が、この日の戸郷の解説でも役に立った。ちょっとした違和感は、戸郷の左足にあった。投げ終わりの左足。今の時代は便利だ。すぐに昨年のいい時と比べた。やはり、異なる部分は、映像にそのまま映っていた。
勝っていた時、投げ終わった左足で小さくトンと弾んでいる。これは私の想像だが、右足からしっかり左足に体重が移り、投げ終わった反動で、左足がほんの少し宙に浮くのだろう。それは、体重移動がしっかりしていること、そして、ボールに威力が乗っていたことを意味しているのだと。
その材料を元に、この日の初回、中野、森下の結果球を見ると左足は静かにマウンドを踏み締めたままだった。軽々に、勝てない理由をそこに求めることはしない。もしかすると、戸郷は意識的にそういう変化を描いているのかもしれない。だとしても、私は戸郷にこうアドバイスしたい。あの投げ終わりの左足の動きを再現してみれば、今の不調と比べることもできるのではないかと。
私が現役時代に大切にしてきた教訓がある。状態が悪くなってから反省を始めても遅い。調子が下り坂になり、不調を自覚した時には多くの場合、悪い箇所は増えている。そうなると、ひとつずつ修正するのは困難になる。
調子がいい時こそ反省する。いい時は思考もシンプルだ。調子を崩す時の特徴的な部分だけを気にしていれば、たとえ悪くなっても、そこをチェックできる。そうすれば、いち早く修正への道に戻れる。
バッターは相手があるから、調子を取り戻すことはより難しいが、投手は自分主導だ。ゆえに、スランプから抜け出しやすい。こうした考え方を元に、戸郷には復調への道を模索してほしい。これも大切な経験であり、決して無駄なことではない。(日刊スポーツ評論家)
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- 阪神対巨人 1回裏阪神1死一塁、戸郷(右)は森下に先制2点本塁打を浴びる(撮影・上田博志)
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- 阪神対巨人 1回裏阪神1死一塁、森下(左)に左越え本塁打を許した戸郷は厳しい表情を見せる(撮影・西尾就之)
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- 阪神対巨人 1回裏阪神1死、戸郷は佐藤輝に四球を与え、岸田の励ましを受ける(撮影・西尾就之)
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- 阪神対巨人 1回裏阪神1死一、二塁、戸郷(左)は打者前川の時、泉口の悪送球を捕れず追加点を許す(撮影・上田博志)
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- 阪神対巨人 2回表巨人2死二塁、戸郷は自打球を当てる(撮影・上田博志)
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- 阪神対巨人 2回表巨人2死二塁、自打球を当てた戸郷(右)は才木から声を掛けられる(撮影・上田博志)
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- 阪神対巨人 ベンチに引き揚げる戸郷(左)とベンチの阿部監督(撮影・上田博志)