対照的な答えだなと思った。オープン戦の最後まで開幕遊撃スタメンを争うことになった、ロッテ平沢大河内野手(20)とルーキー藤岡裕大内野手(24=トヨタ自動車)のコメントだ。
3月7日の巨人戦で2安打した直後、藤岡裕について聞かれた平沢はこう答えた。
「藤岡さんどうこうじゃなく、自分。藤岡さんっていうよりも僕がちゃんとしなきゃっていう意識です。2軍にいるくらいの気持ちでやる。危機感はあります」
対して3月15日、藤岡裕は平沢についてこう話した。
「気になりますよ。ちょっと焦ってますね。結果を見るのが怖いくらい。(ライバルが)気にならない人なんていないんじゃないですか」
藤岡裕の言う通り、平沢も全く気にならないなんてことはないのだろう。年齢は4歳若いが、プロでは2年先輩。チャンスは有限だと知っている。この発言も、自分に言い聞かせているようにも聞こえた。ハタチと言えば、大学生なら何の職に就くかも決まっていないころだ。その年齢で「今年ダメなら最後くらいの気持ちです」と真っすぐな目で続ける。強い意志から言葉を紡いでいた。
逆に藤岡裕は、首痛でこの時まだ2軍戦にも復帰していない段階だったが、とても素直な言葉だと思った。大学社会人を経由して入った即戦力。キャンプでは井口監督に「頭ひとつ抜けている」と評され、ケガがなければあっさりレギュラーに内定していたかもしれない。オープン戦で猛アピールした平沢に「でも自分が与えたチャンスですから。またつかみにいくしかないです」と笑顔も見せた。
昨年まで数年間、遊軍として各球団の取材に行った。一昨年まで西武は「決定的なショートがいない」と言われていたのを思い出す。その穴にぴったりはまったのが、昨季新人王の源田であり、中日では京田だった。内野がコンバートされ、正遊撃手不在のチーム事情は、逆に言えば我慢強く若手を使い続けられる環境でもある。
実力社会の厳しさを感じさせる平沢の覚悟の言葉には「剛」を、ルーキーながら冷静さと少しの余裕を忘れない藤岡裕の言葉には「柔」を感じた。意気込み方が異なるライバル2人の、勝負のシーズンがいよいよ始まる。半年後「ロッテはショートがいない」なんて、きっと言わせない。【ロッテ担当 鎌田良美】





