不要不急の外出は自粛している今年の沖縄出張をきっかけに、自分磨きに自炊や朝活、散歩など新しいことを始めた。

ただ、第1クールの時点で心が折れそうだ。そんな意思の弱い記者の目の前で、すでに打者として磨かれた広島鈴木誠也外野手は、一切手を抜くことなく自分磨きに打ち込んでいる。

5年連続で打率3割と25本塁打をともに達成している史上4人目の打者だ。そんな選手が大胆な打撃改革を行っている。昨季は左足を上げたときの体を正面から見ると、漢字の「人」に近かったが、今年は左足を上げたときに軸足に重心を残したまま振り出す。まるで漢字の「卜(ぼく)」のよう。軸を保ちながらポイントを近くして打つことで、球を長く見ることが狙いという。

「練習で完璧に打つことは簡単なんですけど、最悪を想定しないといけない。(きれいに)打てなかったときの対処法。どんな球にも自然とヒットゾーンに落ちる打ち方が理想だと思う。詰まってヒットゾーンに飛ぶということは、芯に当たれば長打、本塁打になる確率も上がる。その打撃ができれば究極なのかなと」

どんなコースにもバットの芯で捉えて本塁打にすることが究極の打撃だとぼんやり思っていた。「打ち取られない」ではなく「打ち取られる」ことを受け入れた上でのアプローチは、なんとも現実主義者らしい発想だ。過去の数字に興味はない。ただ、打ち取られた過去は忘れない。昨年合わせて44打席あった内野フライや引っ掛けたゴロアウト…。頭の中で反すうした傾向から導き出された答えだったのだろう。

春季キャンプではライバルとのポジション争いもあるが、自分自身との戦いもある。「挑戦しないと人は変わりませんから」。26歳の姿に、40歳ももう少し、自分と戦ってみようと思う。【広島担当 前原淳】

広島沖縄キャンプ ランチ特打を行う鈴木誠也(撮影・加藤孝規)
広島沖縄キャンプ ランチ特打を行う鈴木誠也(撮影・加藤孝規)