恒例の季節がやってきた。阪急阪神ホールディングスの株主総会が16日に大阪市内で行われる。

同HDの株主総会といえば、「モノ言う株主」のタイガース愛あふれる質問が飛び出すことで有名。そこには笑いや怒りが渦巻く。監督の采配や選手の成績がその場にふさわしいかは別として、それだけ注目を集める人気球団だという証しだろう。

「タコイカ論争」が起こったのは19年の株主総会だった。質疑応答でこんな質問が出た。ドラフト戦略に触れた1人の株主が「回転ずしなら大トロやウニの皿があるのに、タコやイカの皿から取っている。なぜこのようなドラフトを続けるのか」と質問。電鉄幹部は「今季は守る野球、センターラインを重視したドラフトでした」と返答した。

前年秋のドラフトでは1位で大阪ガスの近本、2位で延岡学園の小幡を指名した。近本は藤原恭大(ロッテ)辰己涼介(楽天)のクジを外してからの「外れ外れ1位」だった。もちろん、当時の知名度としてはそれほど高くない選手だったが、あれから2年たって、質問した株主も「タコのうまさ」をかみしめているのではないだろうか。

首位を独走する矢野阪神は、宿敵の2位巨人には7ゲーム差と「独走態勢」に入っている。佐藤輝ら新戦力が台頭するなど若手が躍動。虎党をワクワクさせる矢野野球は文句の付けようがないのではと考える。いや、こんな時だからこそ「なるほど!」と膝を打つ、質問、提言が飛び出すかもしれない。【阪神担当 桝井聡】