連日連夜の熱戦が続くWBC。遊軍記者の私は、侍ジャパンと1次ラウンドで同組となった中国代表を、大会直前に鹿児島と宮崎で取材しました。日本生まれ日本育ち、東海大菅生高(東京)でプレーした梁培外野手(24)が、本大会で「有言実行」の活躍を見せてくれました。

子供の頃はイチローに憧れていたという梁培。高校卒業後は中国の北京タイガースに入団し、18年に初めて代表に選出されました。自身初のWBCを前に「僕が日本からこっち(中国)に渡った1つの理由、目標として掲げてきたので、メンバーに選ばれてうれしい。日本戦にはスタメンで出たい気持ちが強いです」。今回の代表チームについては「ほんとにチームワークもすごくいいです。フレッシュな、新しい中国代表をお見せできたら」と話していました。

9日の日本戦には宣言通り「1番右翼」で先発出場。第1打席で大谷翔平投手(28=エンゼルス)から空振り三振を喫したものの、6回2死の第3打席、戸郷翔征投手(22=巨人)から左翼へソロ本塁打を放ち、チームに待望の今大会初得点をもたらしました。「スピードが持ち味。長打を打つバッターではないので、何でもいいから塁に出て盗塁だったり、守備だったり。チームに貢献できたら」と話していた梁培でしたが、大舞台で最高の結果を出しました。

また今大会では、元ソフトバンクの真砂勇介外野手(28=日立製作所)が、中国代表として参加したことも話題になりました。梁培は真砂のことを「めっちゃ優しい『アニキ』って感じです。チームにとってすごくプラス。いろんなものを吸収したいというか、いるだけで安心する」と信頼。自らが学ぶと同時に、野球経験の浅いチームメートに真砂の助言を伝える「通訳」としての役割も果たしています。

中国代表は今大会、1次ラウンドで0勝4敗。全4試合に出場した梁培は、16打数3安打の打率1割8分8厘、1本塁打、2打点に終わりましたが、随所に光るプレーで代表を支えました。「WBCという誰でも出られる舞台ではないので。中国代表として、1つの歴史というか、前よりも強くなった、新しい中国代表をみなさんに見てもらいたいと思います」と話していた梁培。まだ24歳。これからも中国代表をけん引する活躍を期待しています。【遊軍・鈴木正章】

WBC1次ラウンドB組 日本対中国 6回表中国2死、左越えに本塁打を放ち、ダイヤモンドを回る梁培(2023年3月9日撮影)
WBC1次ラウンドB組 日本対中国 6回表中国2死、左越えに本塁打を放ち、ダイヤモンドを回る梁培(2023年3月9日撮影)