「自分の前には真弓(明信)がいるし、うしろには掛布(雅之)岡田(彰布)がいるんだよ。チームにいい打者がいないと勝負をしてもらえないんだ」
ランディ・バースはよくこんな趣旨の話をしていたという。85年、日本一に輝いた阪神で3冠王を獲得した「史上最強の助っ人」。特にタイトルについて、チームメートの力が大きかったと実感していたようだ。
数年前、来日したときに取材した際も「掛布が監督になったら喜んで打撃コーチで来るよ」などとジョークを飛ばしていた。ともに戦った仲間への感謝はずっと大きいのだろう。
そんな話を思い出したのはサンズ、ボーアの本塁打そろい踏みを見たからだ。久しぶりである。今季の広島戦勝ち越しを決める流れをつくったのは北條史也の先制2ランだが勝利を確実にしたのは2人の連続本塁打から始まった6回のビッグイニングだった。
そんな快勝の中、本塁打王が期待される大山悠輔に1発は出なかった。ライバルである巨人岡本和真はDeNA戦で25号を放った。他にも候補はいるし2人に絞られたわけではないが、やはり最右翼だろう。ペナントレースでは大きく差をつけられたし、大山にはなんとかタイトルを…と思うのだが、正直、岡本が有利ではないかと思っている。
甲子園と東京ドームの違いなど理由はいろいろあるが、その1つに前後、周囲の選手の存在がある。岡本には坂本勇人、丸佳浩がいる。大山の周囲にはそれほど頼りになるような選手は見当たらない。
そう考えていたときの助っ人連発だ。打席であんなに堂々としていたサンズの最近の急降下ぶりは一体、どうしたと思っていたがここに来て少し復調気配。それを示すかのような一発になった。それにつられるようにボーアも打った。
優勝の行方がほぼ決まって“消化試合”の色が濃くなっても、当然、どのチームでも負けたくはないし、派手に打ち込まれたくもない。特にタイトルに絡んでいる選手には簡単に打たせたくないものだ。
その対象は阪神なら間違いなく大山になる。その大山へのマークを分散させるために周囲が重要になる。本塁打を打てる選手がゴロゴロいれば別だが、やはり大山以外ではこの2人だろう。チームはもちろん、大山にとっても“本塁打王獲得への助っ人”となることを期待したい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




