「村上(宗隆)にホームラン打たれた方が、こっちはおまえ、よかったわ! おーん!」。なんだかんだ評価はあるが、やはり指揮官・岡田彰布は面白い。勝利後、力説したのは9回、岡留英貴が村上を迎えた場面についてだった。
8-0の大量リードで迎えた9回、3番手で登板したのは若い岡留。1死を取った後、打席に日本が誇る長距離砲の村上を迎えた。岡留はここで警戒した挙げ句、四球を与えた。そこから反撃を食らって、一気に3失点。快勝に少しだけミソをつけてしまった。
「あの四球がいかん。ホームラン打たれたらエエやないか。岡留にも言うたよ、点差関係ないからなって。あれが一番あかん。ホームラン打たれた方が、どこが打たれたか聞けるやんか。あれが一番いかん」
攻守とも四球を重要点にする岡田ならではの視点だろう。もちろん、そう言えるのは大量リードがあったからだ。1回に吉村貢司郎の立ち上がりを攻め、3点を先制。だがその後が続かない。ジリジリする展開を変えたのは7回、大山悠輔の適時打だ。そして8回、一気に打線がつながり、4点を奪ったのである。
今季の阪神、イニング別で見て、8回は得点が少なかった。延長は別にしてイニング別で最少は9回の「19点」。試合前まで8回はそれに続く少なさの「33点」だった。終盤はどこも好投手が投げることが多く、当然と言えばそうだが、それにしても粘りを感じさせないのは、こういう部分もあった気がする。
だが、この日は4得点をマーク。これは6月27日の中日戦(甲子園)に並ぶ今季最多タイ、2度目のことだ。18日の中日戦も負けたとはいえ、8回に得点した。打線が再び上昇モードに入ってきた…といえば楽観的過ぎるだろうか。
「おう。久しぶりにのう…」。記憶力抜群の岡田は「終盤、つながりましたね」と聞くと、そう即答した。こんな展開が少ないこともあるだろうが、何か“気配”のようなものを感じていたのかもしれない。
東京ドームでは上位の広島、巨人がつぶし合いをする連戦だ。言うまでもないが阪神はその間、ヤクルトに勝たなければゲーム差は縮まらない。23日からの広島3連戦(マツダスタジアム)を「直接対決」と呼べるようにするためにも、まず、やるべきは21日、ヤクルト・サイスニードを打ち崩すことだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




