3季連続の甲子園を狙う静岡が三島南に圧勝し、準決勝進出を決めた。主役は3番内山竣(3年)。3回2死満塁で右翼席に本塁打を放つと、7回にも1死二塁から右中間に豪快な1発をたたき込んだ。この日マークした満塁弾、1試合2本塁打、9打点はすべて自身初。「記録ずくめ」の大活躍でチームを圧勝に導いた。

 静岡の内山が、草薙の空に2発の花火を打ち上げた。まずは5点リードの3回。2死満塁から右翼席に自身初のグランドスラム。序盤に早々と試合を決定づけると、トドメは7回。1死二塁の好機から右中間席に飛び込む豪快な一撃で、高校通算本塁打を18本とした。この日行われた夏の大イベント「安倍川花火大会」をしのぐ!? 2本の特大アーチで、一足先に観客を沸かせた。

 内山の今大会は、ここまで3試合で2安打だった。一転、この日は2回にも貴重な追加点となる右前2点適時打を放つなど、6打数5安打9打点と大車輪の活躍。中軸としてようやく結果を残し「1試合で2本も、満塁ホームランも、9打点もすべて初めての経験。素直にうれしい」と、ようやく笑みがこぼれた。

 3試合で1安打に終わった春のセンバツの悔しさが、内山を進化させた。「このままでは終われない」と、最後の夏に向けてフォーム改善に着手。プロ野球歴代3位タイの31試合連続安打を記録した西武・秋山を参考に、軸足の使い方や体重移動を意識した。センバツ以降は、この日の2本を含めて4カ月で7本と本塁打を量産。「夏前からずっと調子は良かった」と、手応えはつかんでいた。

 生みの苦しみから解放された左の大砲を祝うかのように、チームも2試合連続の2桁安打となる20安打で大量19得点。6回には安本竜二主将(3年)にも今大会初本塁打が飛び出した。内山は「今日の結果は自分にとってさらに手応えになった。次も打ちます」と、静岡商との伝統校対決へ頼もしい言葉を並べた。3季連続の聖地まであと2勝-。確実に目の前の敵を蹴散らすつもりだ。【前田和哉】