十日町が夏の甲子園出場校の中越に2-0のゼロ封で勝った。夏休みに捕手から投手に転向した西川嵩峰投手(2年)が9奪三振の被安打7で、本塁を踏ませなかった。0-0の8回1死一、二塁には右越え2点三塁打を放ち、投打の主役になった。日本文理は7-0で新発田中央に快勝。先発の南隼人投手(2年)が6回を4安打無失点に抑えた。村上-開志学園戦は7回途中で降雨ノーゲーム。4試合が雨天のため順延となった。

降りしきる雨の中で、晴れやかな笑顔を見せたのは十日町の西川投手だった。2-0の9回2死二、三塁。中越最後の打者・岡山太陽外野手(2年)を右飛に打ち取ると、右コブシを突き上げながら、ぬかるむマウンドから駆け下りた。「打球が飛んだ瞬間、ヤバイと思ったから、うれしかった」。捕手から転向して1カ月の投手が、夏の覇者を相手に完封投球をやってのけた。

「捕手は防具を身に着けなければならないから、面倒くさい。投手は、身軽だからいい」と笑った西川は、夏休みの日野(東京)との練習試合でマウンドに立った。投手が払底していたチーム事情で命じられ「いい感じだった」と、そのまま転向した。十日町中条中時代の1年夏から1年間、投手経験はあるが、以後は捕手一筋。そんな急造投手が中越打線を無失点に抑えた。「変化球が低めに決まった」と有効に使ったチェンジアップは3日前に練習を開始したばかりの変化球だった。

被安打7の6四死球。再三のピンチにも、西川は動じなかった。「無という感じで投げた」と言う。1-0の完封で加茂暁星に勝った今夏の準々決勝はマスクをつけていたが「その時に似ている」と緊迫したゲームをマウンドで思い出して勝利を確信しながら投げた。8回1死一、二塁には右越え2点三塁打で、自分の快投をバットで決着をつけた。「捕手は試合中、帽子をつけない。帽子のツバに文字を書くのに、あこがれていた」という西川の帽子のツバはまだ、真っさらのままだった。【涌井幹雄】

◆西川嵩峰(にしかわ・たかみね)2001年(平13)11月22日生まれ。十日町市出身。十日町中条中出。野球は十日町東小2年からE・ReXで開始。高1の17年夏は背番号12の控え捕手。今夏は正捕手。右投げ右打ち。164センチ、69キロ。血液型AB。