高校日本代表の金足農(秋田)吉田輝星投手(3年)が、希望進路の決定を国体後に先送りした。この日の中国との3位決定戦に登板を志願したが、永田裕治監督(54)にストップをかけられた。最終戦には登板せず、進路の明言もしなかった。試合は7回コールド勝ち。3位を死守し、来年のU18ワールドカップへの出場権を獲得した。決勝は延長10回タイブレークの末、韓国が7-5で台湾を下し、2大会ぶり5度目の優勝を果たした。

吉田はベンチで勝利を迎えた。中国戦に登板せず、初の国際大会は不完全燃焼に終わった。登板した韓国戦と台湾戦ではいずれも黒星。「2試合とも結果が結び付いてなかった。次のステージではその2試合を取り返せるように」。日本のエースは本領発揮できないまま、大会を終えた。

注目の進路については慎重だった。「国体が終わってから、しっかり話し合って決めたい」と語った。現時点では今夏の秋田大会前の既定路線だった北東北大学リーグの八戸学院大(青森)への進学が有力だ。進路を決める会議に、この日観戦に訪れた父正樹さん(42)と金足農・中泉一豊監督(45)が加わり、最終決断を下すとみられる。甲子園準優勝投手になってスカウトの評価が急上昇しても、正樹さんと中泉監督は当初から進学の意向を変えてない。

一方の吉田は「自分は優勝だけを目指していた。その先のことは一切考えてない」と進路については封印しながら臨んだが、胸中は揺れ動いていた。U18ではプロ志望の選手と約2週間ともに過ごし、プロへの思いを吐露する場面もあったという。だが、国際大会を経験し、大学でのレベルアップの必要性も痛感した。今後、話し合いの中で吉田が「プロに行く」と宣言する可能性もあるが、関係者は「イメージが湧かない」と首を振る。

30日から福井国体が始まり、プロ志望届の提出期限は10月11日。「自分が後悔しない道を選びたい。もっと成長してもう1度、日の丸を背負いたい」。今夏、日本を沸かせた吉田の未来に注目が集まる。