今夏の甲子園出場校、中越(新潟)の坂井翔太遊撃手(3年)が14日、プロ志望届を提出した。走攻守そろった好素材としてプロから注目されてきた。12球団すべてOKで、育成指名でも受け入れる構え。決意を固めて、10月25日のドラフト会議に備える。

すっきりした気持ちで坂井はプロ志望届を提出した。「もともとプロに行きたいと思っていた。9月になって正式に結論を出した」。ドラフト指名はもちろん、育成でも「かかったら(プロに)行く」と熱意を見せる。

甲子園では1回戦で慶応にサヨナラで敗れた。その後は、後輩たちに交じって体を動かしてきた。シートノックを受け、打撃練習では木製バットを手にした。1日200球以上、打ち込む日もある。甲子園では無安打に終わった。「もっとスイングスピードを上げなければならないと感じた」。課題克服のため、体力強化も怠らない。

中越の本田仁哉監督(42)は「自分が指導した中ではNO・1の野手」と評価する。春先からセ、パ5球団が練習視察に訪れた。昨年から3番に座り、今春の県大会・村上桜ケ丘戦で2本塁打を放った。夏県大会では6試合で1本塁打も、打率4割1分7厘と県内屈指のスラッガーとしての数字を残した。打順の関係で夏県大会では2盗塁と走力を発揮する機会は少なかったが、足の速さもチーム屈指。さらに、最も評価されているのが守備だ。軽快なフットワークとスムーズなグラブさばきで、甲子園の慶応戦でも再三、美技を披露し、スタンドを沸かせた。

ただ、甲子園で結果を残せなかったことで、プロ志望届提出に迷いを見せる時期もあった。本田監督は「伸びしろは、かなりある。チャレンジしてもいい」と後押しした。昨夏の4番、兄琢真さん(19=現新潟医療福祉大1年)からも「やりたいようにやれ」とアドバイスされた。

中越の主軸を張ってきたことで、坂井は「精神力が強くなった」と胸を張る。紫雲寺中時代に所属していた少年硬式野球「新潟シニア」では守備に自信が持てず、打球が飛んでこないように願っていたという。それが今は「甲子園では緊張しなかった」と言い切るほど自信、度胸がついた。ドラフト会議も不安はなく、「楽しみです!」。運命の日を笑顔で待つ。【斎藤慎一郎】

◆坂井翔太(さかい・しょうた)2000年(平12)11月25日生まれ、新発田市出身。紫雲寺小2年から野球を始める。紫雲寺中では新発田シニアに所属。中3の春に全国大会に出場した。中越では1年の秋からレギュラーの遊撃手に。好きな選手はMLBエンゼルスのアンドレルトン・シモンズ内野手。174センチ、73キロ。右投げ右打ち。