新潟県の優勝校・日本文理は小松商(石川3位)に10-0の5回コールドで圧勝した。エース南隼人投手(2年)が5回参考ながらパーフェクト投球を演じた。毎回の6奪三振で、打球が外野に飛んだのも2度だけだった。9-0で迎えた5回2死満塁では、コールド勝ちを決める中前適時打も放った。

晴れ上がった秋空の下で鮮やかな快投だ。日本文理のエース南投手が、小松商打線から快音を奪った。5回参考ながら、67球のパーフェクト投球。右腕を大きく振り抜いて、攻めの投球を貫いた。打者15人に対して毎回の6奪三振で、外野への飛球も2回だけ。「打者が一巡してから“完全”は分かっていた。無四死球で、自分から崩れなかったところが、良かった」と言った。

最速142キロを計測したことのある直球を武器に、ブレーキの利いたカーブでカウントを稼いだ。決め球は切れ味鋭いスライダーだ。鈴木崇監督(38)は「直球を主体に変化球が低めに決まった。ストライクゾーンだけでなく、幅の広い勝負をしてくれた」とエースのクレバーな投球をほめた。「南の投球がよかった」と指揮官が真っ先にコメントで触れたのも、エースだった。

県大会終了後、体幹トレーニングで全身を鍛え直した。トレーニングに手を抜かないのが身上で、肉体改造は少しずつ図られている。入学時の174センチ、62キロは身長が1センチ伸び、体重は71キロと10キロ近く増えた。9月下旬の仙台育英(宮城)との練習試合では5回を投げて被安打1。「自分の投球をすれば、強豪も抑えられる」と自信もつけた。

9-0の5回2死満塁の場面ではコールド勝ちを決める中前適時打を放った。自分のバットで「完全」の続行を断ち切ったが「連戦になるから、早く終わるのはいい」と完全が参考記録になっても意に介さない。「これが最高(の投球)ではない」。向上心たっぷりのエースは2回戦も快投を見せる覚悟だった。【涌井幹雄】