劇的決着で春4強入りだ! 昨夏の県準優勝校の仙台三が、2-1で東陵にサヨナラ勝ち。0-1の9回2死二、三塁。2番手で登板した朝倉光優投手(3年)が、左中間へ値千金の一打を放ち、試合に終止符を打った。

    ◇    ◇    ◇  

歓喜に沸く輪の中心で、朝倉がとびっきりの笑顔を見せた。ベンチからホームベース付近へと一斉に飛び出した仙台三ナイン。控え選手、保護者からの大きな拍手を背に、抱き合ってハイタッチ。サヨナラ打の余韻に浸った。

「最高でしたね。自分が自分じゃないみたいな感覚でした」

一振りで息詰まる熱戦に終止符を打った。0-1の9回2死二、三塁。「初球は甘くなるだろうなと思って、思い切りいきました」。その通り、甘く入った初球の外角直球を見逃さずに振り抜いた打球は左中間を真っ二つ。二走が生還し、接戦をものにした。「しっかり打つことができた。打撃は得意ではないですけど、完璧でした」と興奮気味に汗をぬぐった。

マウンドから流れを呼び込んだ。6回無死一、三塁から2番手で登板。先頭打者に左犠飛を許すも、後続を空振り三振、二ゴロ。持ち味の直球を軸に最少失点で防いだ。7回から9回までは無安打投球。反撃ムードを一気に高める堂々の快投だった。「変化球が抜けることはあったけど持ち味の直球を軸に打ち取ることができた」。

今大会は背番号「10」をつけるが、エースナンバーへのこだわりは一切ない。貪欲にチームの勝利だけを求める。「投げて勝てれば、それでいい」ときっぱり。春の東北大会(6月7日開幕、福島)切符は目前に迫った。次戦は21日、仙台育英との大一番。4強入り唯一の公立校が、全国屈指の強豪私学に挑む。【佐藤究】