今春センバツ出場の聖光学院が1-0で福島商に競り勝ち「春の福島」4強入りを決めた。エース佐山未来投手(3年)が9回を投げ1安打完封。0-0で迎えた2回には自ら決勝適時打を放った。

エースの名にふさわしいマウンドだった。1点リードの9回。最後の打者を三ゴロに仕留め、佐山はグラブをポンとたたいた。「よっしゃ」。9回1安打シャットアウト。1点差の緊迫した試合展開に動じることなく、アウト27個を淡々と積み重ねた。

「立ち上がりに少し甘く入ってしまったのは、まだまだ自分の弱さ。後半は良かったと思います」

許した安打は初回の1本のみ。得点圏に走者を置いたのもこの回だけだった。2回以降は毎回の11三振を奪う快投でノーヒットを達成。力強い直球にキレのある多彩な変化球を織り交ぜた。“佐山らしさ全開”の組み立てで福島商打線につけいるスキを与えなかった。「自分の持っているもの以上のことは出せない。自分のできる最大限を常に出そうと思って投げている」。状況に左右されることなく、自らの責務を全うした。

新しい投球フォームを披露した。出力を上げるため、センバツ明けに歩幅を修正。見ただけでは分からないが、歩幅を平均5・8センチから6・3センチ広げた。それにより遠心力が増加。直球の威力が増し、この日は高めのつり球が機能。相手打者が思わず手を出してしまう決め球となった。「直球の威力が増して、空振りを取ることができていた」とうなずいた。

打席では2回2死二塁から真っすぐをはじき返し、左前へ決勝点となる先制適時打をマーク。「飛んだコースが良かった」。投げて、打って。投打ですごみを感じさせた。

地元開催の春季東北大会(6月7日開幕)出場に王手をかけた。「目の前の一戦に目を向けてやっていきたい」。聖光には絶対的支柱・佐山がいる。【佐藤究】