福岡大会は6日、各地で2回戦が行われ、55年ぶりの夏制覇を目指す古豪・小倉工が、初戦を突破した。東鷹に11安打11得点の猛攻で5回コールド勝ち。春夏通算17度の甲子園出場を誇る伝統校が、快勝発進した。牧島健監督(33)の、サッカー部での指導歴を生かしたノーサイン戦法がハマった。

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創立124年目を迎えた伝統の小倉工が、初戦を快勝で飾った。1回に3番梅沢柊捕手(3年)の右犠飛で先制。3回には2得点、4回には大量7得点を奪った。11安打11得点と効率よく攻め立て、5回コールド発進を決めた。

5イニングで6盗塁、4犠打は全てノーサイン。就任9年目の牧島監督は「考える野球を」と今春から自主性を重んじてきた。発端は以前に在籍していた八幡工サッカー部での指導経験にある。「サッカーやラグビーは2つ、3つ先のことを予測する。野球もそれじゃないとだめで、常に先を想定して考えないといけない」。練習でも基本的に指示は出さない。「野球とサッカーは対局。だけどそこにヒントがあった。ノーサインもそこからです」。

指揮官は福岡工大城東の主将として06年夏に甲子園出場。東海大4年では選手会長を務め、1学年下の菅野智之(巨人)らと8度のリーグ優勝、6度の全国大会を経験している。野球は熟知しているが、2年間のサッカー部指導が今の采配に大きな影響を与えた。1安打2打点の活躍だった主将の島田楓己(ふうき)内野手(3年)は「ノーサインが染み付いているところもあるが、まだまだ。この夏で完璧に近い状態へ持っていきたい」と話す。

春夏通算17度の甲子園出場を誇り、67年以来55年ぶりの夏制覇を目指す。今春の福岡大会では準優勝に輝き、九州大会にも出場した。この日は初戦では異例ともいえる全校応援の大歓声を浴びた。古豪の復活を誰もが待っている。【只松憲】

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