センバツ初出場の能代松陽(秋田)が21世紀枠・石橋(栃木)に3-0で勝利。エース右腕・森岡大智(3年)が9回2安打12奪三振の力投で石橋打線を完全に封じ、能代商と能代北が統合した「能代松陽」としての聖地初勝利に貢献した。史上5校目の「夏春連覇」に挑む仙台育英(宮城)は、今大会初のタイブレークの末、慶応(神奈川)に延長10回サヨナラ勝ちを収めた。山田脩也主将(3年)が決勝の適時打を放ち、劇的勝利で3回戦進出を決めた。

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上々の立ち上がりだった。森岡は初回、先頭打者を空振り三振に仕留め、その後、見逃し三振、投ゴロで3者凡退。2回も2個の三振を奪って波に乗った。「初戦で緊張もあったが、ストレートで空振りを取れたり、変化球で打たせて取れた。けっこう良かったと思います」。終わってみれば、無四球12奪三振の快投。持ち味の変化球もコースによく決まった。「内野陣がしっかり守ってくれた。感謝の気持ちで校歌を歌いました」。試合後、喜びと感謝を歌に乗せ、勝利をかみしめた。

恩返しの勝利をささげた。森岡は昨夏の甲子園、聖望学園戦の2番手で登板し4回5失点。悔し涙を流した。この日、応援に駆けつけた、当時の一塁手・椛沢心文さん(ここや、18)は「夏は闘志があったが、球が荒れていた。今は、闘志がありながら冷静に投げられているように見えます」。先輩の見立て通り、森岡は落ち着いていた。「ベンチでもマウンド上でも、深呼吸をして落ち着くことができていました。去年できなかった1勝を挙げることができた。恩返しになったかなと思います」。スタンドで見守る先輩たちに「聖地1勝」を届けた。

次戦は昨春の覇者・大阪桐蔭が相手。2回戦を観戦していた森岡は「1球1球に対する執念や覇気が伝わってきた」と印象を語った。しかし、気後れはない。森岡は「『全員野球』がモットー。全員で向かっていけば大阪桐蔭が相手でも勝てると思っています」と気合十分。センバツと現校名での初白星を刻んだ能代松陽が、全員野球で歴史に大金星を刻む。【濱本神威】

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