花巻東が5大会連続11度目の優勝を飾った。一関学院に9-3で勝利。高校歴代最多の通算130本塁打を誇る佐々木麟太郎内野手(3年)が、逆転打を含む4打数2安打4打点。盛岡三は盛岡四に13-3の6回コールド。3位で9年ぶりの東北大会(6月7~11日)出場を決めた。

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花巻東が逆転で5連覇を達成した。4月に開業したきたぎんボールパークで行われた初めての県大会で一関学院を破って優勝。第1代表で地元開催の東北大会出場を決めた。佐々木麟は「岩手代表としての自覚を持ち、岩手の野球を、新球場をさらに盛り上げていけるように岩手の3校で頑張りたい」と決意を込めた。

プロ注目スラッガーが爆発した。0-2の初回1死二塁、カウント1-1から中前に痛烈な打球をはじき返す反撃の適時打。1-2の3回無死満塁では、初球を左中間に運んで走者一掃の逆転3点適時二塁打を決めた。死球で出塁した6回は中飛で二塁から三塁にタッチアップし、チーム9点目のホームを踏み、打撃に加えて足でも貢献。「とにかく勝つことに命をかけて戦った」と胸を張った。

春5連覇がかかった今大会だったが、佐々木洋監督(47)がナインに強調していたことがある。「この優勝旗が甲子園につながる優勝旗ではない」という点だ。近年の花巻東は春と秋の県大会を制しても、夏は19年を最後に頂点から遠ざかる。だからこそ「(優勝は)1回忘れて、あと1カ月、チームづくりをしていきたい」と気を引き締める。

今大会で収穫もあった。投手陣に不安を抱えていた中、左腕の葛西陸投手、最速147キロをマークした小松龍一投手(ともに2年)が台頭。決勝までの4試合で4投手が計9失点と安定した。主将の千葉柚樹内野手(3年)は「今度こそ秋春夏と必ず優勝旗を取れるようにみんなで頑張っていきたい」。東北大会でチーム力をさらに上げ、夏の甲子園出場につなげる。【山田愛斗】

○…一関学院は「打倒花巻東」を掲げたが、準優勝で幕を閉じた。初回に佐藤駿内野手(3年)の2点適時打で先制も、3回に逆転されて点差を徐々に広げられた。主将の原田大和内野手(3年)は「自分たちの力が足りなかった。やってきたことが十二分に出せなかった印象」と敗因を語った。花巻東投手陣に対して8安打を放ったものの、なかなか連打が生まれなかったことが結果に響いた。

○…盛岡三が11安打13得点の猛打で、14年以来9年ぶりの東北大会切符をつかんだ。7番玉川仁乃助外野手(3年)が3打数3安打2打点で打線をけん引。「『来た球を何も考えずに打つ』をテーマにヒットを打てて良かった」とうなずいた。0-0の2回2死三塁ではカウント2-2から右中間に先制適時三塁打。さらに次打者の打席では「ひらめいてやった」と自身初の本盗を決め、チームを勢いづけた。自慢の打線が機能し、7回には打者一巡の猛攻で9得点し、コールドで勝利をつかんだ。伊藤崇監督(42)は「生徒たちの大会を通しての成長具合はものすごかった」と笑顔を見せ、玉川の本盗については「びっくりしました。さすが仁乃助」とたたえた。東北大会に向けて主将の田村悠人捕手(3年)は「岩手県代表として責任と誇りを持って戦いたい」と力を込めた。