<高校野球茨城大会:常総学院3-2霞ケ浦>◇24日◇決勝

 茨城では木内幸男監督(77)率いる常総学院が9回2死から同点とし、続く10回にサヨナラ勝ち。3年連続12回目の出場を決めた。

 常総学院・木内監督の77歳の体が孫ともいえる選手の手で胴上げされた。宙に舞うこと3度。5年ぶりに復帰した夏にいきなりの優勝。それも2試合連続のサヨナラで決めた。「サヨナラで勝つと思ってたんですよ」。木内監督は白い歯をむき出しにして笑った。

 終わってみれば笑顔でも楽な試合ではなかった。同監督が「私はあきらめていました。子供たちの勝ちで私の負けです」と振り返ったのは、9回裏だった。1点を追うこの回一、三塁としながらも2死。9番宇津木真人遊撃手(3年)はカウント2-3と追い込まれていた。ここで起死回生の同点右前打が飛び出した。「あんなライナーは打ったことない」。本人も驚く一打でよみがえった。続く10回裏、1死満塁で川崎将太右翼手(3年)が右犠飛を打ち上げ決着をつけた。

 負けない木内野球。その裏には巧みな操縦法があった。1点を追う7回の時点で「サヨナラで行こう。誰だっけ?

 お立ち台は」と平気でいってのけた。9回、7番打者のカウント0-1から代打に送った川崎には「最後は3年生じゃねえか」と声をかけた。リラックスさせると同時に、選手の力を把握した上で、大胆な指示を出し続けた。

 5年ぶり復帰は5年ぶりの甲子園になった。「大阪は行きたくないですよ、暑いから」といいながら、選手の可能性にかける。取手二時代に石田文樹氏(15日に急死)を擁し全国制覇したチームを引き合いに出し「まだ50点のチームだが甲子園でぐんと強くなることがある」と言う。「1回戦を突破したらどうなるかわかりませんよ」とも付け加えた。77歳監督は晴れ舞台でも相手を悩ませそうだ。